*サクラ花火*
□和解交渉
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次の日の朝、一と総助は長州藩主の毛利成和公の元を訪れていた。
そんな中、厳粛なムードをぶち壊す一のリラックスしきった態度に、楢崎は終始気が気ではなかった。
「大殿様、高砂一と才原総助が参りました。」
「一、総助、よう戻って来てくれたな。礼を言う。疲れてはおらぬか?」
「とんでもございません。そのようなお言葉…」
謙遜する総助をよそに、一は相変わらずいつも通りの態度で答えた。
「疲れたよ。なので俺はこれにて失礼…」
「いちいいいいいい!!!!!!!!」
そそくさと帰ろうとする一に、見張り役として着いてきていた楢崎の怒号が飛んだ。
一はその罵声にチッと舌打ちをすると、成和公はアッハッハと大笑いをした。
「はっはっはっ!!!変わらんなぁ!!一。わしは安心したぞ!!元気そうでなによりなにより!!」
「成和様…あまり一を甘やかさんで下さい…お陰でこんなことに…」
「こんなことって何だよ。」
「まったくだよ。」
ふてくされながら一が言うと、成和公は壇上から二人の前に降りた。
「楢崎、これからの日本はこーゆう二人みたいな有望な若者が作っていくんだよ。だが幕府はそれを弾圧する。だからこの長州でくらい、のびのびと過ごさせてやってくれ。」
「成和様…。」
「だから今回の大仕事はお前逹、"若い"衆の仕事だ!!"和解"だけに…アッハッハ!!!」
「…。」
「…。」
「口、ちょんぎってやろうかおっさん。」
成和公の場の空気を凍らせる洒落に、罪人にされても文句は言えない暴言を吐いた一だった。
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