*サクラ花火*
□和解交渉
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ー…ザク…ザク…
「ったく…変な駄洒落で丸め込まれたようで気分悪りぃな。」
「そんな事言わずに頑張りましょうよ〜一さん〜!!」
成和公から外国との和解交渉の内容を聞き、一逹は早速異国の船が停舶している海に向かった。
「だいたい小忠太、何でお前が通訳なんだよ。もっとマシな奴よこせよ。」
「だって今の長州藩と言えど留学経験がある俺!!と神太さん、それと総助さんくらいしか英語分かる奴なんていないっすよ!!
神太さんはまだこっち戻ってきてないし…。」
「…鬱陶しい訳するんじゃねーぞ。」
「俺が分かんなくなったら総助さんもいるし大丈夫ッスよ〜!!ね!!総助さん☆」
そう言って小忠太が総助に笑いかけると、総助も笑いながら答えた。
「俺はギリギリ読めるくらいだから発音は微妙だよ?」
「うぇ〜!!じゃあ俺の口に長州の命運かかってるんッスね!!重いッスー!!」
「じゃあそのまま沈め、バカ。」
そして3人がそんな他愛のない話をしているうちに、外国船の停舶場所付近に到着した。
昔から何度か見ていた海岸沿いには黒い蒸気船が物々しい佇まいで停泊しており、その様子に三人は息を呑んだ。
「あ、俺指示されてる衣装とか持って来るッスね!!着替えないと!!」
「着替えってなんだよ。」
「聞いてないんスか!?向こうは藩主出せって言ってきてるんスよ!!
だから藩主のフリをして貰わなきゃいかんのでそれなりの格好をするんッスよ…じゃ、ちょっと待っててくださいね!!」
そう言うと、小忠太は近くの民家に走っていった。
小忠太がいなくなり、一と総助が残されると、一は言い出しづらそうに口ごもりながらも総助に話し掛けた。
「…総助。俺に協力なんざしたくねぇかもしれねぇが、数時間だけでいい。協力してくれよな。
お前だって長州がなくなるのは嫌だろ?」
「…わかってるよ。必ず成功させなきゃいけないからね。藩の一大事に私情なんて挟まないよ、一じゃあるまいし。」
「ふん、ムカつくな。」
「こっちこそ。」
そう言うと二人は拳をぶつけ、ニヤッと笑った。
ー…バタバタバタ…
「一さ〜〜〜ん!!持ってきましたよ!!これこれ!!!」
大きな荷物に埋もれるように現れた小忠太は、ドサッと持っていた荷物を一に手渡した。
一はその中身を見ると、思わず絶句していた。
「た…立烏帽子に陣羽織……?………お前はバカかぁぁ!!!今時立烏帽子被ってる藩主がどこにいる!!!!!!」
「いや、外国の人は背が高いから立烏帽子で大きく見せて威厳をですね…」
「・・・。」
「ホントに大丈夫なのかこれ。」
「さあ…。」
小忠太の謎の気遣いが吉と出るのか凶とでるのかもわからないまましぶしぶ着替えを済ました一は、
総助と小忠太と共に、外国船へと小船を進めていったのだった。
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