*サクラ花火*

□兄
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.....................




ー…パカッ…パカッ…





『高砂さん…総助さんはどうして黙っていなくなったりしたんですか…?』




一の後ろで馬に乗っていた桜が一に尋ねた。




「…兄貴だよ。」

『お兄さん…?』



「あいつの兄貴は春就って言って、ちょっと昔から変わってる奴でな。

総助と同じ医者なんだが、外来の宗教にはまって突然家から姿を消したんだ。」




『…。』




「それからあいつは両親も亡くして一人ぼっちになった。その時からずっと、兄貴の事探してたんだよ。」


『でもそれなら一緒に探しにいけばよかったじゃないですか!!何で一人で…』





馬を走らせる一の表情が少し曇った。





「あいつの兄貴、キリシタンなんだよ。キリシタンが今どんな罰を受けてるか知ってるだろ…?

あいつな、兄貴と顔が本当によく似てんだよ。きっと自分が春就と間違えられた時、俺逹に迷惑がかかると思ったんだろ。」




『そんな…総助さんはキリシタンじゃないんでしょう?……あれ…でも…あのネックレス………』





桜は総助の首にかかっていた十字架のネックレスの事を思い出した。





「…何でお前がそんな事知ってんだよ。」


『あ、いや…たまたま見えちゃったというか見たというか…。』

「はあああ?!」



『ちょっ…高砂さん前!!前見てくださいっっ!!!』











桜にキレかかって後ろを向く一に慌てて桜が言うと、一はいじけたように前を向き直した。





「…もうお前には教えてやらん!!」


『ええっ?!な…何でそんなふてくされて…』




「ふてくされてねぇ!!振り落とすぞてめーは!!!」






......................







ー…ガサッ…





「二人とも…ありがとう…。」











一と桜の乗った馬が通りすぎた後、道の脇から木の陰に隠れていた総助が現れた。




(ありがとう…でも…巻き込むわけにはいかない…。ごめん…)












「甘いな、総助。」




「!!!?」




総助が一人歩き出そうとすると、後ろには一の姿があった。




「なっ…なんで……?!」



「何年お前と一緒にいたと思ってる。隠れてるだろーと思ったわ。」


『総助さん!!心配しましたよ!!よかった…』





「一…桜さん…。」





戸惑う総助に一が笑って言った。




「どうせ俺ら長州藩志はお尋ね者だ。お前が奉行所に捕まりそうになったって同じ事だろーが。」




「…!!一………ありがとう…。」







思い詰めた表情だった総助は、一のその言葉に肩の荷がおりたようにニコッと笑った。




そして3人は、一路、

総助の兄を探し出すため、長崎へと向かう事となったのであった。



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