*サクラ花火*
□新たな一歩
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―……バシッ…!!
『…?』
「彼女は関係ない。」
桜が目を開けると、目の前には桜をかばうように総助が立ち塞がっていた。
『総助さ…―』
「どけ!!この女は才原春就の情報を知っている。よって連行する!!」
「本人がいれば…彼女は必要ないだろ…。」
「は…?」
総助はそう言うと役人を睨み付け、胸元から十字架を取り出した。
「俺が才原春就だ。俺が捕まるから彼女を離せ。」
『!??』
「才原…本人だと?!!」
「春就様だっ!!!!」
「お助け下さい!!春就様―!!」
総助を見たキリシタン達は、口々に春就に助けを求めた。
その様子を見た役人たちは総助を春就と信じたようで、ニヤッと笑った。
『ち…違…!!』
総助を止めようとする桜をおさえ、総助は役人に刀を抜いた。
「いいから彼女を離せ。それとそこの村人達もだ…。そうすれば俺がおとなしく捕まってやる、悪くない話なはずだ。」
「…フッ…確かにな。では才原に縄をかけろ。」
「彼女と村人を離すのが先だ。」
総助は今にも役人を殺しかねない威圧感と形相で、刀をつきつけた。
「早く離せ。そして町まですぐに帰すんだ。早く!!!!」
「…仕方あるまい、離せ。」
「はっ。」
総助の迫力におされた役人達は、次々と村人と桜を解放し、町へ連れ戻した。
だが縄を解かれた桜は、必死に誤解をとこうと役人たちに食い下がっていた。
『そ…総助さん!!!!待って!!彼は…彼は春就さんじゃない!!!お願い!!聞いて!!お願い!!』
「何を言っている。本人も村人も認めているというのに…。この女は才原を知らなかったようだな……町へ連れていけ。」
「いやっ!!離してっっ!!!総助さん!!!!総助さんっっ!!!!!!」
役人に手を引かれながら桜は涙ながらに訴え続けた。
『総助さんっっ!!!!!!!!』
桜の訴えもむなしく
総助は桜に向かって微笑むと
縄に繋がれ役人と共に消えていった。
桜はただその後姿が小さくなるまで叫び続け、その場に崩れ落ちたのであった…。
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