*サクラ花火*

□灯籠流し
1ページ/4ページ





「高砂さん、どこ行くんですか??」



あれから傷もすっかり癒えた一は、隙を見ては藩邸をちょこちょこ抜け出していた。



「どこでもいいだろ。」



「遊郭だよ遊郭。ほっときなよ桜さん。」




「ゆ…遊郭……!!!!」



「てめぇ総助、ぬかすようになったじゃねぇか。」


「だって趣味だったでしょ。最近は珍しく行ってないみたいだけど。」



『そこに…好きな方でもいるんですか…?』



「?!」



まっすぐな瞳でとんでもない事を聞かれた一は、いたたまれなくなってしまった。


「お…お前には関係ねーよ!!」



そう言うと、一は藩邸から飛び出して行った。










.......................



(俺…カッコ悪ー…。)




「あー!!もう知るか!!」





頭をガシガシとかくと、一は一軒の店へ入っていった。


「じーさんどーだー。」



「おう。一か、上手いこと出来てるぞ。」



店のおじいさんは一に小さな円形の物を手渡した。




「流石だな!!綺麗じゃねぇか。」


一はそれを覗き込みながら嬉しそうに言った。



「お前がうっとうしいくらこだわるもんだから大変だったわい。」



「うん、これならいい。これくれ!!」



「はいよ。でもまぁお前さんがこんなにのめり込むたぁ珍しいな。一時はイカれたかと思うくらい遊び狂ってたのによ。」



「ヒゲ引っこ抜くぞじじい。」




「ははは!!まあ良いことじゃねぇか!!うまくやれよ!!」




「おうよ。ありがとな!!」






そう言いちょっと照れ臭そうにしながら店を出た一は、

またフラフラと京の町をうろつきながら川沿いまで歩いて行った。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ