*サクラ花火*
□灯籠流し
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「高砂さん、どこ行くんですか??」
あれから傷もすっかり癒えた一は、隙を見ては藩邸をちょこちょこ抜け出していた。
「どこでもいいだろ。」
「遊郭だよ遊郭。ほっときなよ桜さん。」
「ゆ…遊郭……!!!!」
「てめぇ総助、ぬかすようになったじゃねぇか。」
「だって趣味だったでしょ。最近は珍しく行ってないみたいだけど。」
『そこに…好きな方でもいるんですか…?』
「?!」
まっすぐな瞳でとんでもない事を聞かれた一は、いたたまれなくなってしまった。
「お…お前には関係ねーよ!!」
そう言うと、一は藩邸から飛び出して行った。
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(俺…カッコ悪ー…。)
「あー!!もう知るか!!」
頭をガシガシとかくと、一は一軒の店へ入っていった。
「じーさんどーだー。」
「おう。一か、上手いこと出来てるぞ。」
店のおじいさんは一に小さな円形の物を手渡した。
「流石だな!!綺麗じゃねぇか。」
一はそれを覗き込みながら嬉しそうに言った。
「お前がうっとうしいくらこだわるもんだから大変だったわい。」
「うん、これならいい。これくれ!!」
「はいよ。でもまぁお前さんがこんなにのめり込むたぁ珍しいな。一時はイカれたかと思うくらい遊び狂ってたのによ。」
「ヒゲ引っこ抜くぞじじい。」
「ははは!!まあ良いことじゃねぇか!!うまくやれよ!!」
「おうよ。ありがとな!!」
そう言いちょっと照れ臭そうにしながら店を出た一は、
またフラフラと京の町をうろつきながら川沿いまで歩いて行った。
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