*サクラ花火*
□長門の生き様
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―…チチチ
「ちょっと一!!寝てばっかいないで少しは掃除手伝ってよ!!」
「我が家じゃないからやる気でねぇわ〜まじないわ〜」
「家でだって掃除しないじゃん!!藩邸に置いてもらってるってゆーのに…はあ…」
池田屋事件後、新撰組の捜索を逃れる為、一達は長州藩邸に一時的に身を寄せていた。
「もーいいー。帰ろうぜー。」
「邪魔だ。一。」
「あ、楢崎さん。」
畳の上でゴロゴロしている一を苦い顔をした楢崎が一蹴した。
「一、少し気になることがあるんだが、ちょっといいか。」
「…?」
.......................
―…ポタッ…ポタッ…
「長門さん…もう…何か知っているなら言って下さい…これ以上は…」
「すまないな…嫌な役回りを…。」
新撰組が取調をする際使う牢の前で
瞳いっぱいに涙を溜めた隊士が
牢に繋がれ血だらけの長門の前に座り込んでいた。
「私は…長門さんが長州の間者(スパイ)だなんて思えません…。このままでは長門さんの命が…!!」
「心配してくれて…ありがとな…。」
涙を流す見張りの隊士に
長門は笑顔を見せた。
「長門。」
「副長…」
「…貴様が池田屋で長州藩士を助けたのも、河原で長州の高砂一と話していた事も調べはついている。いい加減本当の事を言え。」
「本当の事を…言っているんですけどね…。」
「ではなぜ朝敵である長州藩士を捕まえない。」
「……同じ……日本人同士だからだ……。今は日本人同士で争っている場合ではない…!!」
「お上を守るのが役目の新撰組隊士とは思えない発言だな。」
「確かに上様や天子様を守るのも大切だ…。だが…このままのやり方では新撰組はおろか、幕府も他国にやられてしまうぞ…!!!」
「心根まで倒幕派に感化されたか。新撰組参謀ともあろう男が…腐ったな、長門。」
男はそう冷たく言い放つと、牢から消えていった。
「待て…!!このままでは…新撰組は…!!!」
「長門さん…。」
長門の悲痛な想いは
誰からも理解される事はなく、
一人冷たい牢の中で
国と、そして大切な新撰組の未来を憂いていた。
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