*サクラ花火*
□長門の生き様
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「一…正気?」
ため息をつく総助に一はいつもの調子で言った。
「当たり前だろ。助けられっぱなしでいれるか。」
「とか言ってこんな所まで着いて来た俺もどうかしてるな…。」
二人は楢崎から長門の事を聞き、
藩邸をこっそり抜け出し新撰組屯所のすぐ近くまで来ていた。
「どうすんの。確実に牢は屯所の中だし…80対2…くらいになるよ…」
「80対3ッスよ!!」
二人が後ろを振り返ると、こっそり二人についてきた小忠太が笑った。
「…たいした戦力にならねぇんだよボケ!!!」
「…足引っ張られる分80対1になるかもね。」
「ふ…二人ともヒドイっスよ〜!!俺だって命を助けて貰ったお礼がしたくて色々考えたんスよ!!!で、コレ!!!」
そう言うと小忠太は懐から小さな棒を取り出した。
「煙幕と発煙筒…?」
「斬り合いってなら役にたたないかもしれないッスが、場を混乱させて助け出すくらいなら大丈夫ッスよ!!」
「…ベタな手だけど使いようかもね。幸い今日は無風で雨も降ってない。割りと長時間煙で視界は防げる。」
「じゃあ小忠太は発煙筒を仕掛けて、火事だって叫び回れ。で、総助は基本小忠太のサポート。牢には俺が行く。俺しか牢の場所知らねぇだろ。」
「…何で牢の場所とか知ってるんスか?」
「騒ぎ起こして何回も捕まったことあるからね、一は。」
「捕まったんスか?!ははは…ぐわはっ!!!」
「長門の代わりにお前を牢に入れてきてやろうかあああ〜!!!!??」
「ギブギブギブです!!!!!!!」
「はあ…緊張感ない…」
突入を前にふざける二人を見て、一抹の不安を抱く総助だった。
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