*サクラ花火*

□過去を知る少女
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―…ピチャ……





「ん……。」




『あ、気がついた?大丈夫?』



気絶していた少女を介抱していた桜が少女に笑いかけた。





「何で…?」



『ごめんね。女の子相手に手加減もしないで…首…痛くない?』





「……!!!」










桜の気遣いと優しい笑顔を見て、少女は緊張の糸が切れたのか、思わず涙をこぼした。




「…す…すみません…。」





そう言って、少女は肩を震わせて泣いた。



『あなた…お名前は?』



「初…と申します…。」




齢10程の少女だったが、見た目以上に受け答えがしっかりしていて、


どこかのいいお家柄の娘ということが桜にもすぐ分かった。






『お初ちゃん…でいいかな?これ…ご飯…作ってみたんだけど…お腹すいてないかな?』




「……私に…ですか…?」



『味の保証は出来ないけど、良かったら食べて?』





差し出された料理を、一口、また一口と初は口に運んだ。





「美味しい……。」



『なら良かった!!沢山あるから、良かったら沢山食べてね。』




「初、沢山食べて大きくなるのよ。」





「母上………。」



『え?』



「あっ…いえ…!!」



桜が初を見て笑うと、初はハッとして目を伏せた。








「お初ちゃん…どうして…高砂さんにあんな事…」




「…―」

―…ガラッ






「それから先は我々にも話してもらおうか。」



『楢崎さん…。』




部屋の襖が開き、


そこには冷たい視線を送る楢崎が立っていた。







「……。」








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