*サクラ花火*

□背負うべきもの
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『高…砂さんっっ…!!!』




桜は息を切らしながら京の町を走り回っていた。




(いない…どこに…)





桜が疲れ果てて河原に着くと、遠くに見覚えのある人影が見えた。




『た…かすなさん…?』





河原に一人座り込む一は、手に短刀を握っていた。




『高砂さん!!!!駄目ーー!!!!』



「!!!」




桜は一の所に必死に走り込んで一にしがみついた。



「なっ…桜!??」



『高砂さん!!!!駄目です!!死んだりしちゃ駄目です!!!!』



涙ぐみ必死に訴える桜に、一はびっくりしながら答えた。




「は…?お前何言ってんだ?」





『へ…??』








「これ…開けようとしただけだけど…。」










そう言うと、一は小さな包みを桜に見せた。



『それ…は…?』



「まあ見てろよ。」



そう言うと、一は袋の紐を切り、火打ち石を取り出し慣れた手付きで火をつけた。



「ちょっと離れてろ。」




そして懐から花火のようなものを取り出し、着火させた。








―…パパパパパパン!!!!!





『きゃーーーーー!!!!!』


「あっはっは!!!!!!」





突然の音に驚く桜をよそに、一は大声で笑った。




『なっ…なんですか!??爆竹?!』



「花火だよ花火!!!自作だから爆竹みたいになってっけど!!」





花火の音が無くなると辺りは静まりかえり、火薬の臭いだけが残った。












「総助から…聞いたんだな。」




一は桜の方を見ないまま聞いた。



『はい…。』



「今更自殺なんかしねぇよ。死ぬならとっくの昔に死んでらぁ。」



『高砂さん…』



「俺が死んで…罪が消えるなら、いくらでも死んでやるがな。」



『…高砂さん!!』









―…バッ…!!!!!




桜は涙を堪えて一を抱き締めた。



「桜…。」



『高砂さんは…悪くありません!!!悪くありませんから…!!!!!!』



桜は一に言い聞かせるように言った。




「桜………ありがとな…。」



そして、一は桜の頭を撫でた。




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