*サクラ花火*
□ここにいた証明
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「写真??」
一達の家でなにやら作業をしている小忠太が三人に話しかけた。
「自分のおじさんが写真屋をやってるんスよ。で、誰かぜひ撮らせて欲しいって言ってるんッス!!」
「へえー写真かぁ…俺は撮ったこと無いけど面白そうだね。」
「写真〜?やだよめんどくせえ。小忠太、お前が行けばいいじゃねーか。」
「いや…俺は一回撮ったことあるしもういいんッス…」
面倒くさがる一とは対照的に、桜は目を輝かせていた。
『写真いいじゃないですかっ!!!!!撮りましょうよ!!』
「な…なんでそんな楽しそうなんだよ…。」
『え…?いや…楽しそうじゃ…ないですか…?』
少しショボンとする桜を見ながら総助が言った。
「じゃあ一は家にいたらいいよ。俺と桜さんで撮ってくるから。」
「あ、それでもいいッスよ♪美男美女でおじさんも喜ぶと思うッス!!」
「……ちょっと待て!!俺も行く!!!!」
三人が盛り上がっていると、一が急に声をあげた。
「来るの?別に来なくてもいいのに。」
「うるせえよ。京一番の色男が行かねぇと小忠太のおじさんが悲しむといけねえからなあ〜〜〜!!!」
「俺と桜さんが二人で写真撮るのが嫌なだけだろ。」
「うるせえ。黙っとけマリモ。」
言い争う2人をよそに、桜はとても嬉しそうだった。
(……写真…!!これでやっと…思い出が形に残せる…!!)
桜はずっと、
この世界に来たことが未だに信じられずにいて
自分がここにいる"証明"が欲しかった。
この時代にいたという証明。
そして何より大切な
この二人と一緒にいたという証明……。
(嬉しいっ…!!!)
そして一と総助は、ウキウキする桜を連れて
小忠太の叔父、谷 慶之助の元を訪れたのだった。
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