*サクラ花火*
□戦の始まり
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―…カァ…カァ…
血に染まった戦の後。
最近そんな地獄のような光景が増えてきていた。
各地の攘夷派と幕府側の戦は激しさを増し、
京の町、そして幕府がいつになく緊張状態を保っているのは
誰の目から見ても明らかだった。
.......................
―…ドンドンドンドンッ!!
そんな京の町に一人の男の声が響いた。
「桜〜?開けてくれんかのう!!わしじゃ!!わし!!」
『涛次郎さん!?お久しぶりです!!早く中へ。』
「おお。すまんのう。」
そう言うと、涛次郎は背後を確認してすばやく扉を閉めた。
「まったく…最近は京の町も攘夷浪士には特に厳しくなったからのう…。疲れたき。」
『はい…高砂さん達も同じ事を言ってます。』
涛次郎を部屋に通すと、
一と総助が険しい顔をしながなにやら話し込んでいた。
「…涛次郎!!」
「取り込み中悪いのう。ちょっと近くまで寄ったんでな!!」
「いやいや、涛次郎さんもお元気そうで何よりです。あ、座ってください!!」
「おぅ!!すまんき」
そして三人は、客間に腰を下ろした。
「どうじゃ最近は!?一はなんぞ民兵を募って隊を作ったらしいじゃなかか!!!」
「もう知ってんのか??噂は早ぇーなぁ。」
「各地で善戦しとるっちゅーて聞いたぞ。まあ民兵なんち珍しかし、おまんの率いてる兵やからのう…噂もすぐ広まるき!!!」
そう言って涛次郎はケタケタと笑った。
「にしても…明らかに方々で戦が激化しとるのぅ……。気を付けんとわしらもやられてしまうき。」
「ああ…つい一昨日も同郷の攘夷志士が斬られたとこだ…。」
「なんじゃと!?」
驚く涛次郎に一は話始めた。
「長州でも幕府側についてる藩を敵視してるやつがあまりにも多い。池田屋の事件があってからは、会津藩への怒りが他の比じゃねぇみてーだな。」
「会津藩…京都守護職の新撰組を取り仕切っとる藩じゃったな…。なんかビンボーくじ引いたような藩じゃな…」
「まあな…でもこのままじゃ確実に長州の過激派は行動を起こすぞ。」
「そうじゃろうな…戦もやむおえん状況下じゃ…。じゃがわしは…戦なしに倒幕出来るような案を必死に考えとる。これ以上…人が死ぬのは見たくないきに…。」
「涛次郎…。」
まだ楓を失った傷の癒えない涛次郎は、
ぎこちない笑顔を作って見せた。
「とりあえず俺はその過激派を止めるように言われてるんだけどな。」
「一に行かせたって、絶対火に油を注ぐだけと思うんだけどね。人選ミスだよ。」
そう言って総助が笑うと、涛次郎も笑った。
「じゃあ、長州の事は頼むき。わしゃ、諸藩への根回しをする。おまんらも…命を粗末にしたらいかんけんのう!!」
そう言うと、涛次郎は席を立ち、軽く手を振って部屋を後にした。