*サクラ花火*

□戦の始まり
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『あれ?涛次郎さんもうお帰りになったんですか?』




お茶を持ってきながら桜が尋ねた。




「あいつも色々忙しいみたいだからな…。」


「だね…。」




そう言いながら三人は腰を下ろした。




最近情勢が不安定になってからは、

涛次郎だけでなく、一も総助も慌ただしく家をあけることが多かった。




『こんなゆっくり三人でいれるのも、なんだか久しぶりですね…。』




「確かにね…ここんとこバタバタしてたからね…。一は今からまた長州の過激派説得しなくちゃいけないんでしょ?」



「ああ…面倒だけどご丁寧に京まで来ちゃってるみたいだからな…。なんで俺が暑苦しいおっさんと酒なんて…」



「津島さん…って言ったっけ?結構年配なのにやること派手な人だよね。一の将来あんなじゃない?」



「冗談じゃねー。誰があんな髭ダルマになるか。」



『髭ダルマって…』





三人笑い合っていると、桜が何かを思い出し、立ち上がった。




『ちょ…ちょっと二人とも、待っててくださいね?いなくなっちゃ駄目ですよ!?』




「?」




―…バタバタ



桜は慌てて自分の部屋に戻ると、

小さな包みを持って戻って来た。





『これ…プレゼントです!!』





照れながら桜は二人に包みを差し出した。




「なんだ??開けてみるぞ?」


「ありがとうございます!!じゃあ俺も見てみよう…」




―…ジャラッ





「これは…」



袋の中には小さな数珠のようなブレスレットが入っていた。






『近くの神社で頂いてきたお守りです…。戦も起こってきているし、二人の身を守ってくれるように…三人お揃いにしちゃいました。』




そう言うと桜は照れながらお守りをつけた腕を見せた。











「桜…。…ありがとな…。」



「ありがとうございます…!!大事にします…!!!!」


『これで三人、お揃いですね!!』


「おう!!」

「はい!!」


















「これから京の町も戦場になるかもしれねぇ。俺達もだが桜、お前も十分気を付けるんだぞ。」




いつになく真剣な表情の一に、桜は深く頷いた。




「でも極力どっちかが家にいるようにはする。桜さんは…俺達が守るから。」



「そうだな。」






「総助さん……高砂さん……。ありがとうございます…!!私…足手まといにならないよう頑張りますから…!!!」



桜の言葉を聞いて、一と総助はニコッと笑った。






「…だいたいお前がいなくなったらこのお守り、総助と揃いでつけてるだけみてぇになる。それは勘弁だからな!!」



「俺だってやだよ。むしろ俺と桜さんだけでいいんだからさ。」



「イヤ、てめぇが付けなきゃいいことだろーが!!!」



『ははは…』



いつもと変わらない二人のやり取りを見ながら桜はお茶を片付けに台所に戻った。






「もうすぐ楢崎さん来る時間なんじゃない?」




「ゴホッ…ゴホッ…そうだな…ゴホッ……。」





「一?」





「風邪ひいたみてーでな。この忙しい時に。」



「薬やろうか?」


「ゴホッ…はは…いらねー。」



そう言って笑うと、一は立ち上がって部屋を後にした。






「一……?」
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