*サクラ花火*

□守りたいもの
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『謹慎…!?』




藩邸から戻った楢崎が告げたのは、一の謹慎処分だった。






「津島さんの説得に失敗したからですか…?でもそれくらい…今までだって…!!」



腑に落ちない様子で尋ねる総助に楢崎は答えた。





「あいつを助ける為だと思え、総助。」



「え…?」





「長州藩の重鎮には、一をよく思ってない奴らもいる。今回の件で一の挙げ足をとってもっと重い罰を与えるべきという声もあったのだ。」



『そんな…。』


「……。」




「特に今回は、昔朝倉に仕えていた會田って男がかんでる。」

「朝倉…!?まだ…そんな……怨恨が………」




驚きを隠せない総助に楢崎が言った。




「だからそれを防ぐ為に毛利公と俺が先に、一番軽い罰を与えた。それに…」


「それに…?」



「いや…なんでもない。」




楢崎は口をつぐみ、それ以上の事は言わなかった。




「津島さんは結局どうなったんですか?」


「あちらには処分無しで、挙兵をしたそうだ…。京へ…向かっている。」




拳を握りしめ、悔しそうに楢崎が言った。




「会津を討った所で長州は完全に孤立するだけだ…長州一藩で幕府は潰せやしない…

ようやく今、土佐や薩摩と同盟を結ぶところまで来たというのに…このままでは全て水の泡だな…。」




「楢崎さん…。」





いつも表情を変えず冷静な楢崎が、焦りを隠せなかった。

それがどれ程大変なことか、総助にも嫌といほど分かっていた。





「とにかく津島が京を火の海にする前に止めるしかない…!!今日の夕刻、藩邸でその会合がある。」


「俺も…行っていいですか?」



「ああ…もちろんだ。」






そして二人はこの切迫した状況を覆す為、藩邸へと向かったのだった…。





........................






夕刻に始まった会合は終始荒れ模様だった。





「津島を止める為に兵力を使うなら、そのまま幕府を討ちにいく方がよいではないか!!」



「長州一藩で幕府が潰れる訳がなかろう!!それより話し合いを設けるべきだ!!」


「そうだ!!なぜ説得に高砂一など行かせたのだ!!あんな破天荒な男に説得など出来るはずがなかったのだ!!」




「だが津島は高砂となら話すと言ったから、奴を差し向けたまでだったろう。」


「とにかく、武力で鎮圧するにしても幕府に攻め入るにも、こちらも挙兵せねばならぬ。」





「……。」






飛び交う怒号に総助は苛立ちを隠せなかった。





ここにいる人間はみな、口では偉そうに論じるくせに、実際に行動は起こさない者ばかりなのだ。



実際に命を落とすのは身分の低い兵ばかり。


いつもそんな兵の手当てにあたっていた総助は、こみ上げてくる怒りを隠せなかった。




そして、ある男の発言で、総助の怒りは頂点に達した。



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