*サクラ花火*

□守りたいもの
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「高砂一の隊を使えば良かろう。あの隊は戦や奇襲に強いではないか。」


「!!」




声をあげたのは、一を疎ましく思っているという會田だった。




「高砂の失態のせいでこうなったのだ。あの隊を差し向けよ、それなら相討ちになるだけでもよい。」


「そうだ!!それがよい。」

「わしも賛成だ。その隊を差し向けよう!!」




面倒事を押し付けるあてを見つけた家老達は、皆賛成を口にした。




「…それはならん!!」




それに対し声を荒げたのは楢崎だった。




「隊長のいない隊を勝手に捨て駒にするなど…もっての他だ!!」


「誰も捨て駒など言ってはおらぬだろう。相討ちだ、名誉の戦死ではないか。

あやつの兵は民兵だったな、侍ではない奴らには勿体無いくらいだ…」









―…バキィッ!!!!!








「そっ…総助…!?」





會田の言葉を遮るように、総助は會田を殴り飛ばした。

総助の怒りは既に限界を超えており、怒りに震える拳を握りしめた。





「一は…お前らと違って兵を駒としてなんて見てなかった。仲間として…誰一人無駄死にさせなかった!!だから強かったんだ!!

お前らにあの隊の指揮なんて……出来る訳が無い!!!!」









「……高砂とつるんでいる医者坊主か……そうだな……わしらにあやつの兵が指揮できぬなら……才原…お主にやってもらおうか。」









「會田っ…!!貴様!!!!」





怒りを露にする楢崎をよそに、総助はあっさり答えた。






「…分かりました。」






「総助!?」




「そうか!!決まりじゃ!!!津島への挙兵は明日、才原総助指揮で高砂の兵を出す!!!」

「ちょ…!!ちょっと待て!!!!」




楢崎の制止もむなしく家老達は挙兵を決定させ、足早に藩邸を後にした。











人のいなくなった会合部屋には佇む総助と楢崎だけが残った。





「なぜあんな口車に乗った!!総助!!!!!」



「……あのまま放っておいても一の兵が駆り出されるのは間違いなかったでしょう。

想像したよりもむこうに味方する人が多かった。

俺が断れば、あの隊は本当にただの捨て駒にされるか、一を引っ張り出すでしょう…。」




「だが毛利公にこの事実を伝えれば…覆ることだったではないか!!!」




楢崎の言葉に総助はうつむきながら答えた。




「津島の兵はもうこっちに向かっている。毛利公に直訴している暇はない…結局、同じ事ですよ…。」




「しかし……!!!」





「勘違いしないで下さい。俺は死にに行くつもりはない。生きて一の隊を戻します。だから一に伝えて下さい…」







「…総助…?」







総助は少し笑って部屋を出ながら言った。








「安静にしてろ…って。」












「総助…お前知って…」















総助が去り部屋に残された楢崎は一人壁に手を打ちつけた。




無力な自分に






腹をたてながら………。




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