*サクラ花火*
□仕組まれた戦
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「楢崎さん!!津島さんが挙兵してるって本当ですか!?」
「小忠太……。」
屋敷に駆け込んできた小忠太が血相を変え、楢崎に尋ねた。
「このままじゃ京は…戦場になるんじゃないッスか…?」
「…津島を止める為に、こちらからも兵を出している。」
「兵を出した…?誰が…行ったんスか…?こっちに津島さん達に抵抗できる兵なんて…」
「……。」
「楢崎さん!?」
詰め寄る小忠太に楢崎は俯いたまま答えた。
「一の隊を…総助が率いて挙兵している。」
「総助さんが…?なんでっ…!!」
「上が決めた事だ…もう総助も…今朝京を離れた。」
「……!!!」
楢崎の言葉を聞いた小忠太は、無言で楢崎の前から立ち上がった。
「小忠太!!どこに行く!!まさか総助の後を追うつもりじゃないだろうな!?お前が行っても犬死にだぞ!!」
楢崎が小忠太を止めようと声を荒げると
小忠太はまっすぐな瞳で楢崎に答えた。
「仲間見捨てるくらいなら、犬死にで結構です。」
「…小忠太。」
小忠太は楢崎に軽く頭を下げると、屋敷から一目散に走り去った。
(総助さん…!!なんでそんな無茶したんスか…!!らしくないッスよ!!!!)
唇を噛み締めながら、小忠太は京の町を走り抜けて行った。
―…ドンッ!!!!!!
『きゃっ!!!』
「も…申し訳ないッス……って桜さん?!」
『小忠太さん!!』
道の角で、小忠太とぶつかったのは桜だった。
「桜さん…!!こんな所で何やってるんスか!!」
あれからどうしても家でじっとしていられなくなった桜は、一の謹慎場所を必死に探し回っていた。
『高砂さんに…総助さんの事…!!もう私にはそれくらいしか…!!!!』
気が動転してしまっている桜を落ち着け
小忠太は桜に耳打ちした。
「高砂さんは菊屋の主人の家です…世話役と言えば会う事は出来るはずッス。高砂さんに伝えるの…お願いしてもいいッスか?」
そう言うと、小忠太は桜の顔をまっすぐ見て肩に手を置いた。
「俺は先に総助さんの後を追うッス!!高砂さんにも…そう伝えてください!!」
『小忠太さん…ありがとうございます!!小忠太さんも気を付けて下さいね…!?』
小忠太は桜にニッと笑うと、すぐにその場から走り去った。
(小忠太さん…!!どうかご無事で…!!)
小忠太の背中を見送ると、桜もすぐにその場から走り去った。
総助の命運を、一に託すために……。
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