*サクラ花火*

□仕組まれた戦
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そしてちょうどその頃、


総助も兵を率いて津島の兵の近くまで来ていた。





「一旦ここで体勢を立て直しますか…。おそらくもうあちらも近くまで来ているはずですし…。」




「はい。才原隊長!!!」




「…隊長なんて柄じゃないから…何か慣れないなぁ。」



「何言ってるんですか!!自分達からしたら立派な隊長です!!自分達は国の為、命をかけて才原隊長に付いていきます!!」










「みなさん…。」






一の隊の者は、武士から農民、大工に漁師など身分様々だった。




その者達をまとめて隊にしたのは一だったが"身分差別のない隊"を提案したのは総助で、

隊の者は一だけでなく、総助にも絶大な信頼をおいていた。






「ありがとうございます…。でも…命を無駄に使う事だけは絶対にしないで下さいね?皆さんに何かあったら俺は一に顔向け出来ませんから。」





そう言って総助が笑うと、兵達も皆力強く頷いた。








「才原隊長!!!西の方角、恐らく津島雅久率いる一団かと思われます!!」




「思ったより早かったみたいだね…分かった。」




総助はそう言うと、隊に陣形を指示した。




「極力衝突は避けたいんだ。同郷の志士同士で戦っても意味はないしね。俺が津島さんと接触するまでは絶対に攻撃はしないこと。」




「はい!!了解しました。」






(さあ…上手くいくといいんだけどね…。)




そして総助を先頭に、一団は津島の軍勢を待ち構えた。








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―…ドンドンドンッ




「はい…どちら様?」



息を切らした桜が戸を叩くと、

中からやつれた顔の主人が顔を出した。



『私…楢崎さんから言われて来ました…高砂さんの世話役の者です…。』



「なんだって!?さすが楢崎さん…!!もう困り果ててたんだよ。あの猛獣みたいな男に…ささ、中へ。一番奥の部屋です。」



『はい…!!』

(猛獣…??)





主人は桜に鍵を渡しながら言った。




「あの男、出せ出せと暴れるばかりで逆に病状が悪化しているようで心配になってた所だったんですよ。いやあ、本当によかった。」





『…病状?』


「では私は居間にいますのでお願い致しますね。」



『あ…あのっ…』




桜に鍵を渡すと、主人はそそくさとその場から去っていった。




(一体…どうゆうこと…?)





桜は不思議に思いつつも、恐る恐る一のいる部屋の鍵を開けた。







―…ビュン!!!!!!!!



『へ…?』





―……ガシャーン!!!!!!!!





驚きのあまり腰が砕けた桜の横には

砕け散った花瓶が落ちていて、


目の前にはもうひとつの花瓶を投げようとする一の姿があった。



「ちっ…外したか………って桜!???」












『た…たかすなさん…!!!何なんですかぁ……!!』



「悪ぃ…!!てっきりここの主人だとばっかり…大丈夫か?」




そう言うと、一は座り込んだ桜の手を取った。




『高砂さん!!それよりも…大変なんです…!!!早くしないと…総助さんが…』








「総助…?まさか…」





ずっと嫌な予感がしていた一は、その言葉だけですぐにピンと来た。






『総助さんが…高砂さんの隊を率いて津島さんを止めに行かれました…!!』





「やっぱり…!!あの馬鹿がっ…!!!!!すぐに向かう!!」






そう言うと、一は立ち上がり部屋から出た。




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