*サクラ花火*

□二番目の人間
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毛利公に引き取られてから一は萩の藩校に通っていた。

だが誰とも打ち解けられるはずもなく、いつも一人で過ごしていた。






"俺だけなんでこんな目に?"








回りには馬鹿で幸せそうな金持ちの息子ばかり



そのくせ剣術でも勉強でも、誰一人自分より優れている者はいなかった。





そんな奴らが努力もしない卑怯でどうしようもない馬鹿にしか見えなくて







自尊心ばかりが膨らんでいった。






そしてある日、そんな一に回りの生徒十数人が寄ってたかって暴行を加えた。





―…バキッ!!ドスッ!!




「お前いつも生意気でムカつくんだよ!!」


「家も身寄りもないお前がでかい顔しやがって!!」





「…一人じゃ俺にも立ち向かえないクズが…!!!俺に触るな!!」



―…バキッ!!ドスッ!!!!




果敢に相手を蹴散らし続けた一だったが

相手の人数が多くほとんど袋叩きにされていた。


そんな時だった




―…パシッ!!!!





「弱い者イジメしちゃダメでしょ。」



「…―!?」










一が声のした方を見上げると、一人の少年が少年達の殴る手をつかんでいた。





「げっ…!!こいつあれだよ…変人の杉のおっさんの所の…」





他の少年達よりもゆうに背丈の高いその少年は、その言葉を聞いてグッと手に力を込めた。






「…杉先生の事悪く言ったら許さないよ。」


―…ギチッ




「痛い痛いっっっ!!!!!」



「…ちょ……もう行こうぜ…!!」

「まっ…待てよっ!!うわああ!!!」




―…バタバタッ





「ふぅ…大丈夫?」



少年が振り返ると、全身ボロボロの一が竹刀を持って構えていた。




「俺を…弱いもの扱いするんじゃねぇ…!!」




「…せっかく助けてやったのに…そんな体じゃ俺に敵わないから止めときなよ。」


「うるせぇぇ!!!!」





一が少年に竹刀を振りかぶると、

少年はあっさりそれをかわし、一の腹に一撃を加えた。





―…ドスッ




「う…っ…―。」











「変わってないなぁ…少しは大人になりなよ、一。」
























薄れ行く意識の中、その声にどこか懐かしさを覚えながら





一はその場に倒れこんだ。





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