*サクラ花火*

□告白
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「一さん、具合どうッスか?」




春就の治療(監視)の元、自宅療養を続けていた一の見舞いに小忠太がひょっこり現れた。




「…小忠太…てめー酒くらいは持ってきただろうなぁ?」






もの凄い剣幕で言う一に、小忠太は笑顔で答えた。




「無理ッスよ〜酒なんて持って来たら俺が春就さんに殺されるッスもん!!」


「お前が殺されるのは構わねぇから酒持って来いよボケ!!」



「あ〜も〜…荒れてるッスねぇ〜。」






春就にイラつき、

思うように動かない自分の体にイラつき、

一の怒りは完全にピークに達していた。






「治療されてるんだか寿命縮められてるんだか分かったもんじゃねーよ。」



「はは!!でも他にも原因がありそうッスね。」



「……。」



「桜さんの事ッスか?」




小忠太の言葉に、一は少し驚いたような顔をしながら言った。





「お前にそんな心配される日が来るとはなぁ…。」


「俺が大人になったって事ッスよ!!まあほら、フラれる事なんてよくある事ッス…」



―…ゴスッ!!メキメキメキ……





「フラれてねぇわ!!おめーと一緒にすんじゃねええええ!!!!!!!!!」



「死ぬ死ぬ死ぬ!!ギブです!!ギブギブ!!!!……じゃあ何なんスか〜?」


「お前になんざ教えん!!!ちょっと期待した俺が馬鹿だったっ!!!!」







一は小忠太の首から手を離すと、縁側にどかっと座った。





「それはさておき…小忠太お前、新しい日本のリーダーになるっての…まだ目指してんのか?」



「当たり前ッスよ!!残り少ない杉先生の門下の一人として、先生の意思を継ぐんッス!!」




「……小忠太…。」





その時、小忠太の返答に杉の名前が出てきたことが一はとても嬉しかった。


そして一は真面目な顔で小忠太に話始めた。






「小忠太…俺はもうこのざまだ。少しくらい延命出来た所で、新政府を作る時間なんて残っちゃいねーだろう。」




「一さん…そんな…らしくないッスよ…!!きっと治…」

「自分の体の事くらい自分が一番よく分かってら。」



「…―!!」



一は少し悲しそうに笑いながら小忠太の言葉を遮った。




「だからこそお前に、俺や総助の…そして杉先生の意思、想い、全部託す。皆が争わなくていい平和な世、作るって…約束しろ。」






珍しく真剣な一の話を黙って聞いていた小忠太は

一をまっすぐ見ながら答えた。









「約束します。必ず……!!!!」













小忠太の真剣なその顔と言葉に、一も安心したようにニッと笑った。












「…これで俺の役目もようやく終わったな…。」





「え…?」






「じゃあ…俺はまた一眠りするわ。お前も約束果たすならこんな所来ねぇで頑張れよ!!」










一はそう言って笑うと、小忠太を残し部屋へと戻って行った。








「一さん………。」






一人残された小忠太は、一の容態を気にしながらも拳を握りしめ






一との約束を果たす為、




そして自分の夢を果たす為、










その場から走り去った。


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