*サクラ花火*

□告白
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―…ゴホッ…ゴホ…










「これで良かったんだよな…?杉先生………?」







一は咳き込みながらおぼつかない足取りで布団に倒れこんだ。







「ああ…情けねぇなぁ…。」





体も思うように動かず、

未来は人に託すしかない。


そして一番大切な人に想いを伝えることさえ、一は出来ないままだった。









「総助…お前は桜に伝えたんだろう…?俺は…駄目だなぁ……。」

















総助は俺の代わりに死んだんだ。

そんな総助が愛してた女に、俺は気持ちを伝えてもいいんだろうか。





それに桜も…俺の想いを聞いた所で、結局は一人になっちまうんだ……。



これから先、ずっと傍にいてやれないのに気持ちを伝えたいなんて…俺の我が儘じゃねぇのか?









そんな答えのでない問いが一の頭の中をループし続け、一は完全に身動きがとれなくなってしまっていた。


だが時間は無情にも過ぎ去り、一の残り少ない命もまた、すり減り続けていた。

































「らしくないね、一。やりたいようにやりなよ。でも次は…渡さないからね?」













「…―!?」








その瞬間、耳に聞こえた懐かしい声に一は飛び起きた。








「総…助…?総助なのか!?おい!!どこだよ!?」





一は辺りを見回しながら必死で問いかけた。


だが、そこに総助の姿はなく、返事が返って来ることもなかった。








「総助…。」






姿は見えなかったが、あれは間違いなく総助の声だった。

そしてその言葉を思い出して、一は少し笑って言った




「幽霊になっても…お前は俺のライバルに違いねぇ…か……。」





空耳かもしれない。

ましてや自分の思い込みだったのかもしれない。



でもあれは…間違いなく総助の声だった。


それは人生の大半を総助と過ごしてきた、一だからこそ分かることだった。





そしてその一言は、一の心にひっかかっていた重い枷を外していった。








「今も次も…渡しゃしねえぞ…総助!!!」











俺は桜が好きだ。





あの笑顔も、髪も声も、誰にも渡したくない。






こんな想い……伝えられないまま死ねるか!!!!!!











そして一は拳をギュッと握りしめ、襖に手をかけた。




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