*サクラ花火*
□ずっとあなたと
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二人が帰った後、一は筆を持って何やら考え込んでいた。
『何を書いてるんですか?』
「辞世の句を一つくらい残しとこうかなと思ってなぁ。」
『じせいのく…?』
「生きてた時の最後の句だよ。」
『…。』
一の言葉に桜は表情を曇らせた。
「んな悲しい顔すんなよ…書いたからって死ぬわけじゃねぇ。それに辞世の句なんて悠長に残せない奴も沢山いるんだ、感謝しねぇとな!!」
『そう…ですね…じゃあ私も書きます!!』
「お、いいな!!じゃあどっちがいいの出来るか勝負だな。」
そう言うと二人は笑い、並んで筆を取った。
........................
「……だめだっ!!上手くできないっ!!よく考えたら俳句なんてまともに作った事ないですもん!!」
「俺も下の句がイマイチなんだなぁ〜…。」
そう言うと、二人は筆を置いて寝転んだ。
「にしてもお前、俳句作ったことねぇなんて珍しいな。未来の日本じゃ俳句なんて作らねぇのか?」
『はい…俳句なんて授業で作るくらいで…』
『へ?』
驚き言葉を失う桜を見て、一はニッと笑った。
『なっ…何で…?!』
動揺しながら尋ねる桜に一は笑いながら言った。
「俺の勘は昔からよく当たんだよ。でもまあ、今回ばっかしはまさかとは思ったがなぁ!!あはは、俺すげぇ!!」
『こ…こんな話…信じてくれるんですか…?』
「だってそう思った方がつじつまが合う事ばっかりだろ?」
あっさりと言う一に驚きながらも桜は申し訳なさそうに頭を下げた。
『私…ごっ…ごめんなさいっ!!記憶喪失だなんて…嘘…ついてて…。』
「あれは俺らが勝手にそう思ってただけだろ。それに…お前が嘘ついてくれたお陰で俺はお前と一緒になれたんだ、謝る必要なんてねーよ。」
『高砂さん…。』
「それよりもよ、未来の日本はどうなってんだ!!?だいぶ変わってんのか??」
目を輝かせて言う一に圧倒されて、
桜は少しづつ自分がいた未来の日本について話始めた。
未来には電車や、飛行機なんていう空を飛ぶ乗り物があるという事や、
携帯電話でどんなに離れた人間ともいつでも話が出来るという事。
そして戦の無い、平和な世の中が訪れているという事を……。
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