*サクラ花火*
□生きる約束
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『う…ん…。』
―…ガバッ!!!!!!
『え…?』
―…ブロロロ…
―…ガタンゴトン…
『ここ…は…。』
目を覚ました桜の目の前には
ビルに車、そして見慣れた町並みが広がっていた。
『どうして…?私…刺されて…。』
全く状況が飲み込めない桜は脇腹に手を当てたが、傷などどこにも見当たらなかった。
『高…砂さん…!?』
もちろんあたりには一の姿もなく、桜はただただ途方にくれた。
今、分かっているのは
ここが桜があの日飛び降りたビルの屋上で
自分の着ている服も、総助から貰った着物ではなく
いつのまにかあの日の"洋服"に戻っているということだった。
『簪もお守りも…指輪も……ない…!!!!!そ…んな…。』
桜が何よりも大切にしていた、楓の形見の簪や三人お揃いのお守り、
そして一にもらった指輪もどこを探しても見当たらず
まるで初めから"何も無かった"かのように全て消えていた。
きっとここは私が生きていた"日本"で、
高砂さん達がもういない"日本"。
桜は今すぐにでも一と総助の後を追いたかったが、
目の前にあるフェンスを越えることは、どうしても出来なかった。
だって…約束したもの……
"生きる"って…―
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