*サクラ花火*

□奇跡の花火
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資料館を後にした桜は、寺の門の前に立っていた。





(門…開いてる…。)





胸が締め付けられるような気持ちになりながらも、桜は一と総助の墓に向かった。

寺の中には無数の墓石があり、一つ一つに丁寧に花や水が供えられていた。






『こんなに沢山……。』






この寺の殆どの墓石は一や総助の率いていた長州藩士達のものだった。



身分を問わない一の隊の志願者は、多くが十代や二十代の若者で、

子孫もおらず戦で亡くなり無縁仏となる場合が増えた為、この寺に墓標をまとめたのだった。







そんな墓石の道を抜けた見晴らしのいい高台に、二人の墓はあった。






―…ドクン…











「高砂…さん…総…助さん…?」









高台に二つ並んだ墓石。


それは生前、いつも喧嘩をしながらも一緒にいた、二人そのままのようだった。









『…っ!!』










目の前の墓石はあっという間に涙でかすんで見えなくなり、


それと同時にやっとまた三人で会えたような安堵感で、桜はその場に座り込んだ。























涙ってどれだけ流れるんだろう。













桜は一生分の涙を使い果たすように泣き続けた。

















いくら泣いても二人が戻るわけじゃない












わかってる…でも………













今日くらい…いいですよね………?









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