*サクラ花火*

□奇跡の花火
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ー…ホー…ホー…




『………。』





あれからどれくらい経ったのだろう。

桜は二人の墓の前から離れられないまま、その場にうずくまっていた。





『もうこんな時間…帰りたくないな…。』






―…ガサッ…



桜が立ち上がろうとした瞬間、後ろの草むらで何かが動く音が聞こえた。







『…え…?』











―…ヒュン





『へ!?きゃああああ!!!!!』












―…ガチャーーーン!!!!!!














「やっと捕まえたぞ!!俺の寺の墓荒らすたぁいい度胸だったがなぁ!!」




























「………あれ?……女?」













.........................









「桜。」


「桜さん。」











誰…?私を呼んでるの…

















懐かしい声……















…これは…

















『高砂さん…総助さん…?』














―…ズキッ



『痛っ……。』





夢から覚めズキズキと痛む頭を押さえながら起き上がると、そこは見知らぬ部屋の中だった。





(ここ……どこ…?)





記憶を辿るが墓の前にいたことしか思い出せない桜は、ひとまず布団から起き上がった。





(なんだか高砂さん達に初めて会った時みたいだなぁ…。)








そんな事をぼんやりと考えながら襖に手をかけようとした瞬間、勢いよく襖が開いた。
















―…バンッ





『!!』


「お、目ぇ覚めたか?」










突如開いた扉に桜は驚き顔を上げた。

だが桜は目の前の人物を見て、言葉を失った。




襖の開いた先にいたのは









ずっと会いたかった

























懐かしい顔だったのだ。

















『たっ…た…高砂さん…?!』




「は…?」


「親瑛、ケガ人どこ?」







そして、パニックで頭が混乱している桜の前に現れたもう一人の男性は、

桜の方を振り返るとニコッと笑った。












『そ…総助…さん……!!!』










会いたくてしかたのなかった二人を前に、桜の目からは涙がこぼれていた。







「え…?えっと…俺は…。」


「俺、高砂じゃねーぞ。」





『………へ?』









何が起こったのか理解できないまま、困惑する桜に、

目の前の二人も不思議そうに首を傾げたのだった。




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