サクラ花火短編集(大)

□【其ノ一】風邪
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―…ゴホッ…ゴホッ……





「風邪か?桜?」



身支度を手伝う桜に一は心配そうに尋ねた。




『たいした事ありませんから、大丈夫ですよ!!』


「……。」




そう言うと桜は一にニコッと笑った。




「本当かぁ…?何か顔赤いし、熱でもあるんじゃ…俺やっぱ行くの止めようか…。」


「一!!何をしている!!早く来んか!!!」




桜を心配する一の言葉を遮るように楢崎の怒号が飛んだ。



「楢崎さーん。俺やっぱ今日の会合止めときま…」




―…がしっ!!!!






「お〜前〜が〜やっっっと会合に出るって言うから皆集まったんだぞ!!つべこべ言わず早く来い!!!」


「桜が具合悪そうなんだよ!!放っとけねぇだろ!!!」



「お前ならともかく総助っていう医者が家にいるだろう!!大丈夫だッ!!!!!」


「それが心配なんだよ!!!あのエロ医者、治療とか言って変なことするかもだろ!!!」


「お前じゃあるまいし!!行くぞ!!!!」


「離せぇぇぇぇぇぇ!!!!」












『ははは…いってらっしゃい〜。』





楢崎に引きずられるように家を後にした一を見送ると、桜は家の中へ戻った。





.......................





―…ゴホ…ゴホッ…



『う…寒っ…。』



(大丈夫とは言ったものの…寒気と頭痛酷くなってきたかも…。)




台所で一人後片付けをする桜に総助が話しかけた。







「一、何か騒いでましたけど行きました?」


『あ、はい!!ちょうど今出られて…。』







「……。」



『へ…?総助さん…?』




桜の顔をじっと見つめる総助に、桜は顔を赤らめた。




―…ひょいっ






『えっ!?そ…総助さん?!!』



「……。」





何が起こったのか分からない桜をよそに、

総助は桜を軽々と抱き抱えると、そのまま部屋へと戻って行った。




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