サクラ花火短編集(大)

□【其ノ一】風邪
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―…ドサッ





戸惑う桜を布団の上に下ろすと、総助は襖を閉めた。











『そ…そそそ総助さんっ…!??いきなりっ……それは…心の準備が……!!』





あわてふためく桜を横目に、総助は引き出しを漁りながら言った。






「頭痛と寒気。」


『へ…?』




「それに体が熱い。熱は八度前後ってとこでしょうか。」





予想外の総助の言葉に桜があっけに取られていると、総助は手際よく道具を準備し始めた。






「きつい時は遠慮せずに言って下さいっていつも言ってるのに…無理ばっかりして…。」





『う…すみません…。』




少し怒ったような総助の表情に、桜はシュンとしながら言った。





「今日は俺の言うこと聞いて大人しくしてて貰いますよ。家事も俺がしますので。」



そう言うと、総助は桜に布団を掛けて額に水を絞った布を置いた。




『総助さん…ありがとうございます…。』






桜の言葉に総助はニコッと笑って言った。





「一番大切な人も助けられないような医者にはなりたくないですからね。」




「え…?」




「じゃあ何か食べれるもの作ってきますから、寝てて下さいね。」








―…パタン







(…一番大切な…人……。)






布団にうずくまる桜の顔は、みるみる赤くなっていった。







(この布団…総助さんの匂いがする…。)





総助の優しい笑顔を思い出しながら、桜は疲れた体を休めるように眠りについた。



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