サクラ花火短編集(大)

□【其ノ六】金と悪運 前編
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『ふぅ…やっと終わった…。』





落ち葉をほうきで集め終えた桜は玄関先で一息ついていた。





『意外に時間かかっちゃったなぁ…ん…?』







―…バタバタバタ…バタン!!!!




『!????』




「早く扉の鍵閉めろ!!!」


『え?ええ!?』



「早く!!!!!!!!!!!!」






突如走り込んできた男に驚きながらも、桜は男の迫力に負け急いで鍵を閉めた。






「くそっ…どこ行きやがった…。」


「あっちじゃないか?行くぞ。」






―…バタバタバタ……






「行ったか…。」




男は門の外を確認すると、体の力が抜けたようにその場に座り込んだ。






『あの…あなたは…。』





男は戸惑いを隠せない桜を見てニッと笑った。








「ありがとよ、桜。」










『…!?何で私の名前…』














「あの凸凹コンビ何も言ってねーのか。」




『で…凸凹コンビ…?』











.......................







―…がつがつがつ













「なーんでお前がいんだよ…。」




「何でってお前久しぶりに会った友達への第一声がそれかよ。おかわり!!」



「…久しぶりに会った友達の家で勝手に飯食ってる奴に言われたかねーよ。」







いがみ合う二人を横目にご飯をよそう桜に総助が話しかけた。






「すみません桜さん…適当にあしらっていいですから。」




『は…はあ…総助さん…あの方は…?』



「あいつ…自分の名前も言わずにご飯食べてるの…?はぁ…。」




総助はそう言ってため息をついた。







「あいつは宗谷神太(ソウヤ ジンタ)って言って俺達と同い年の長州藩士なんだ。」





『宗谷さん…?』




「金にうるさい奴だけど、まあ悪い奴じゃないから宜しくしてやって下さい。」




『はいっ!!』





ニコッと笑い返事をする桜の頭に総助はポンと手を置いた。





「それはそうと桜さん…気を付けてくださいね?今回は本当に俺達の仲間だったから良かったですけど、もし良からぬ奴だったら大変です。」



『はい…き…気を付けます。』





シュンとする桜に、総助はニコッと笑って続けた。







「桜さんに何かあるのだけは…嫌ですからね?」




『総助…さん…。』











「イチャついているとこ悪いが飯くれ。」


『!!』





「桜から離れろマリモ!!!」


「あーもう一うるさい!!」


「いーいーかーら飯くれっっっ!!」




『ああああはいっ!!!!』




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