サクラ花火短編集(大)

□【其ノ六】金と悪運 前編
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そうして神太の手伝いをすることになった一達三人は、神太に着いて山道を歩いていた。








「で、何なんだよその捕まらねぇ女ってのは。」




「長府のお偉いさんが囲ってた女なんだとさ、でもそれが逃げちまったから連れ戻して欲しい…と。」




「ほー、でも何でまた逃げちまったんだ?」





不思議そうな一に怪訝そうな顔で神太は答えた。







「こんな白昼に女子の前じゃ言えねぇような性癖だったらしいよ、そのおっさん。」






「最悪だね…。」




「まぁなぁ…で、妾なんておおっぴらに探せねぇから大金と引き換えに探してくれって俺に頼んで来たって訳だ。」






「毎度のことながらどこから仕入れてくるんだか…その金儲け依頼。」




「酒の席だよ。今回は性癖なんぞの話を持ち出せば、女の引き渡しでだいぶ金は搾り取れそうだったから受けたんだがな。」








淡々と語る神太に総助はため息混じりに言った。








「悪党みたいな事言わないでよ…。でも女の人をその依頼主に渡すのなんだか気が進まないね…。」


「戻ったらまた変態プレイの再開か。」




『………。』






終始うつ向き黙ったままの桜を気にはしながらも神太は続けた。






「依頼事に私情を持ち込んでたら金なんて手に入らねぇんだよ。だいたい誰のせいでこんな事やってると思ってんだっ!!!!!」












「はいはい悪うございましたー。」







悪態をつく一を一蹴すると、神太は見覚えのある建物の前で足を止めた。












「……おい、ここ数話前に見たことあるぞ。」



「遅いよ一…俺もうだいぶん前に察しがついてたよ。」














「何?お前らここ来たことあんの?」






『ここ…彼岸さんの…お寺…?』








山道を抜けた先にあったのは火事で建て直され新しくなった




彼岸のいた駆け込み寺だった。




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