サクラ花火短編集(大)

□【其ノ十二】天上の花
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―…ガタンッ…











「死…んだ…?」




「ああ。」





突如寺に訪れた神太の言葉に、彼岸は言葉を失った。




「なんで才原先生が…!?」



「大政奉還直前の戦でな…。」




「じ…じゃあ桜は!?あのつり目は…?!どうしてお前が薬を届けに来てる!?」





頭が混乱している彼岸に、神太は顔を曇らせながら答えた。





「あの二人も死んだよ。旧幕派の奴等に暗殺されたみたいだ。」




「そ…んな……どうして…桜まで…。」





「だから俺がこうして総助の残り仕事をこなしてるって事だ。」





神太はそう言うと総助が生前、寺に届けていた薬を彼岸に渡した。






「大政奉還に新政府…?どうして…どうして"そんなこと"の為にあいつらが死ななきゃならないんだ!!」




「…侍をナメるなよ。」











「!?」




神太の胸ぐらを掴んだ鬼の形相の彼岸に、神太は静かに答えた。





「俺達長州の志士達は皆自分の命を懸けてこの国を守ったんだ。"そんなこと"なんて言うんじゃねぇ…!!」





「…。」






「でもまあ…新政府に残るべき惜しい人材が先に命を落として、俺みたいなのが生き残っちまってるってのは…唯一やるせねぇけどな…。」




「お前…。」




少し悲しそうに笑う神太に、彼岸は神太の胸ぐらを掴んだ手を外した。





「悪かった…。」



「はは、何だよ急に。」



「…茶くらい出す…飲んで行け。」



「…。」






彼岸はそう言うと神太に手招きし、足早に寺の中へと入っていった。



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