サクラ花火短編集(大)

□【其ノ七】嵐の前ぶれ
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ー…カチカチカチカチ

ー…カチカチカチカチ

ー…カチカチカチカチ














春うららかな陽気の午後、

珍しく仕事の休みが重なった親瑛と侑は二人で何やらゲームをやっていた。




「あー!!もうてめえまじ鬱陶しいわ!!どけ!!」


「もう!!集中できないから黙ってやってよ!!」





『・・・。』



ー…カチカチカチカチ



昨日の夕食の際に二人が昔ハマっていたサッカーゲームでどちらが強かったのか口論になり、こうしてあきれ顔の桜の横で試合をし続けていた。





ー…カチカチカチカチ



「「死ねえええええぇぇぇぇぇ!!!!」」









(ゴール!!)





「だあああああああああああああああ!!」

「やった勝っ…」



ー…ガッシャーン!!




「ぎゃああああ!!俺の完全試合!!」


「知るか!!こんなの有り得ん!!」





『…なっ!???テ…テレビが!!!!!!!』





言い争う二人の前のテレビは、親瑛が投げつけたコントローラーによって深々と大きなヒビが入っていた。







…ギャー!!ギャー!!



『二人とも〜…いいかげんにしてくださいい!!!!!!!!!』




ー…ピタッ…



「桜…?」

「桜…さん…?」





『こんないい天気なのに大の大人が朝からカチカチカチカチカチカチカチカチうるさいですっっ!!!!!!だいたいテレビ壊すまでやる事ないでしょー!!!!』






「「す…すみませんでした…。」」





―…ガラッ




「親瑛さーん!!桜さーん!!」



『…あ、俊輔さん。』






気まずい空気を割って入ってきたのは、なにやら楽しそうな俊輔だった。





「どうも〜!!あ、侑さんもいたんッスね!!ちょうど良かった♪…ってどうしたんッスか?!二人とも!!」












『あ…いや…それはともかく!!どうしたんですか?』



「あ、そうそう!!今日、町内会のみんなが花見しようって言ってるんッス!!」










「花見?」





「はいっ!!桜、満開ですよ!!行きませんか?」







ニコニコ顔の俊輔の誘いに思わず桜も頬を緩め、

三人は顔を合わせて頷いた。



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