□violence
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暑い暑い。

イライラする。


大体今の世の中“くーらー”だった…アルか?
そんな便利なものがあるのに、家には“せんぷうき”しかない。
銀ちゃん曰く


「ビンボー人は贅沢なんてせずに、たくましく生きていくんだよ。」


と偉そうに言っていた。


「じゃあ、どうすれば金持ちになれるアルか?」


そう質問すると


「心はいつも金持ちであれば十分だ!!」


と返された。
そんなこじ付けな理由があるものか、あの天パめ。
大体家に金が無いのは、銀ちゃんがパフェを食べるからヨ。
私だって、玉子掛けご飯たくさん食べたいネ。


あーもう、何かイライラする。

暑さのせいアルか?

帰ったら一発、何も言わず新八の顔を殴ろう。

うん、多分スッキリするネ。


そう思ってクルリと、万事屋に向かって歩き出そうとした時だった。


「おう、誰かと思えば万事屋のチャイナじゃないかぃ。」


最悪だ。
自分の後ろから聞こえた声を幻聴だと思いたかった。
ただでさえイライラしているのに
一番会いたくない奴に声を掛けられるなんて…。


「何でお前がここにいるネ?税金泥棒。」
「おーおー相変わらずの減らず口だな、威勢がいいや。」


そう言って奴は、ゆっくりだが私の方に近づいてきた。
その時にでも私は睨むことを忘れない。

どこかつかみどころの無いコイツの性格が私は大嫌いだった。
何か嫌味を言ってやれば、怒るどころかサラリとかわされ
いつもヘラヘラとした、しまりの無い表情を見ただけで
殴りたくなる衝動に駆られる。


「ガキんちょを相手している暇は無いネ。」
「これでもアンタよりかは何年も多く生きているんですがねぇ?」


イライラ。

ムカムカ。


こんな感情が私の胸に、錘となって落ちていく。
なんなんだヨ、コイツ。
訳分からないアル。


「…あんまり私を怒らせない方が身の為ヨ?」
「うへぇ、そりゃ怖ぇ。でも……………。」


奴はそう言って、自分の腰に差してある刀をチャキッと抜いた。





「いっぺんでもいいから、身をもってアンタと戦ってみたいんでさぁ。」






表情はふにゃっとしているが、その目は真剣そのものだった。


「後で後悔しても遅いからナ。」
「さぁ、どっちが後悔するのか楽しみでさぁ。」


ニタリと笑った瞬間、一方が剣。一方が傘を持って踏み出した。
次に聞えたのは爆音。



…私に勝負を挑むなんて数億年早いってことを、この拳をで思い知らせてやるネ。





この勝負どっちが勝ったかなんて、それは二人にしか分からない。





***



ケンカップルな二人。

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