□青年よ強い心を持て
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秋が終わり、冬が始まり…テスト週間が始まり。
俺のテンションはジェットコースター並に急降下中だ。
つかテストって何?美味しいの?

自慢じゃないが、俺は授業を真面目に受けたことがない。
あ、でもちゃんと授業には出ているけれどな!…って、それが当たり前か。
普段の俺の授業風景は、寝るか音楽を聴いているかマンガ読んでるかゲームしているか携帯いじっているか
この選択肢しかない。
勿論、先公の話は聞いてない。
ノートも驚きの白さ。


そんな俺が期末テスト一日前にして、やっと危機を感じだし(遅いとか言ってはいけない)
勉強し始めること三分。



「無理。」



小学生の運動会か何かで貰った緑のアライグマの絵が描いているシャーペンをその辺に放り投げて
俺は椅子にもたれかかる。
教科書に書かれている文章の訳わからなさに眩暈がする。
何だこの文章、古代文字?
そもそも、こんなん無理に決まってんだろ。
今まで授業聞いてなかった奴が一日で出来る訳ねーじゃん。
俺は九九で躓いた男だぜ?

…つーかよ、俺一応不良って設定なのに何今までサボらずに授業受けてたんだろ?

世の不良達は、毎日のようにサボり喧嘩を売り喧嘩を買い、やがては暴走族かヤクザの道を歩んでいくものだろ?
まぁ全部、年がら年中アホフリーターが言っていた言葉だからよく知らねーけど。

とにかく、だ!俺は勉強をやめることにします。
ちらりと部屋の時計を見てみると、勉強を始めて5分しか経っていない。自分で言うのもなんだが、挫折早っ。

落書きだらけの教科書、ボロボロな筆記用具を机の上に広げたまま
ボスンと机の近くにあるベットにダイブし、音楽をガンガンにかける。


「あー…。」


この体の底から響くロック音。
いい感じに音を奏でてる、ボーカルの声やそれぞれの楽器。
あぁ、やっぱり最高だっ!!!


ノリノリで音楽を聴きながら、さてお気に入りの漫画でも読もうかなどと考えていたその時…。




「うるせぇええぇぇえっ!!」




―――バァンッ!!



部屋のドアを蹴破って登場したのは、我が弟のリフティ。
俺と色違いの部屋着を身に纏い、部屋の入り口で仁王立ちしてこっちを睨んでいる。
おやおや、かなりのご立腹状態だこれは。
よく見てみると、授業中や本を読むとき以外にはあまりかけない眼鏡をかけていた。
ということは……何コイツ、勉強してやがったのかっ?


「どんだけ音でけーんだよっボケっ!!集中できねーだろうがっ!!!」
「うわっ、何お前勉強してたの?…いいかリフティ勉強しすぎると寂しい思いするんだぜ。」
「訳わかんねーし。お前寝言は寝て言え………って!」
「あぁあぁああぁぁぁあっ?!!」


ブチィッという音と共に今までかかっていた愛しの音楽は無音になり
更にコンセントで繋いでいた配線までもを引き千切った弟は、悪魔の表情を浮かべてこっちを見ている。
その顔は『これでもう音楽は聴けねーな。』というドヤ顔。


「おまっ、何してくれてんのぉぉお?!」
「重い嫌がらせ。さー勉強の続きでもすっか。」


用が済んだリフティは素晴らしいスピードで部屋から出ていこうとする。
それをさせまいとガシッと肩を掴み、何とか留まらせて俺はリフティと向き合う。
おいおいおいおいおいおいおいっ!ふざけんな!お前マジでふざけんなっ!!!
世界はお前中心に回ってねぇぞ!!お前は世界の中心じゃねぇぞっ!!!


「やりすぎじゃない?やりすぎなんじゃないかっ?リフティくんっ?!」
「知るか、喚くな、騒ぐな、黙ってろ。」
「頼むっ!一回でいいから殴らせてくれ!!」
「死んでも嫌だ。」


掴んでいた手をパシンッと払われて
そして絶対零度の瞳で睨まれ…リフティは今度こそ俺の部屋から出て行った。

部屋に取り残された、俺。

その部屋は冬のせいなのか、リフティの殺気のせいなのか
異常な寒さと静けさが満ちていた。



つーか。



「なんでアイツ、俺だけにあんな酷い扱いなの?」



この疑問を応えてくれるのは、勿論誰もいやしない。





とりあえず、翌日のテストはボロボロだったのは言うまでもないだろう。






◆◇◆◇



順位最悪だ…まぁ、わかりきっていたけどよ。
どうしたんですかシフティさん?
あ、フレイキー聞いてくれよー!!

……兄貴、マジムカつく。
そうだねリフティ君、私も激しく同感だよ。

…ねぇナッティ、なんでスプレンディドさんが学校に居るのよ?
知らないよ、ペチュニア。


スプさんは神出鬼没。

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