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□再び。
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「それで?ハルは一体何をやってるんだ?」バロンは思わず笑みが零れる口元を隠しながら自分の目の前で縮こまって項垂れている少女、ハルに問いかけた。

「何をやってるんだって…聞かなくても分かるでしょ?」困ってるの。とハルは恨めしそうにバロンを睨む。

「そうだな…正座してる。」
少女が自分に助けを求める理由とは別だと分かっていてもからかわずにはいられない。
案の定、そうじゃなーいっ!とハルが泣きそうな表情でバロンに詰め寄った。

「何で!?何でこんな!猫の国での一件は終わったはずなのに!」どうして!とハルはぽろぽろと涙をこぼす。

「まぁ、落ち着きなさい。ほら」そう言って紅茶を差し出すといらないっ!とそっぽを向かれてしまった。
どうやら機嫌を損ねたらしい。

「すまない。あまりにもハルが可愛いから。つい」…つい、深刻な悩みなのにも関わらず笑ってしまった。

可愛い、という言葉にハルの耳がぴくっと反応する。

「バロンのいじわる…」そう言った彼女の頬は若干紅色に染まっていて。

「可愛いよ、ハル。」再びそう言って『小さくなった』ハルの頭を撫でるとそれが心地好いのかハルは目を細め、『しっぽ』をゆらゆらとさせた。

そう…彼女は今、猫のような姿になっていた。
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