過去拍手文

□明日はきっと晴れになる
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一瞬にしてその目の淵いっぱいに涙を浮かべたハルが無理に笑顔を作って、ごめんなさいと頭を下げた。

「本当に…ごめんなさい。…邪魔になってるみたいだから私、帰るね。」

ぱたぱたとハルが階段を駆け降りて、事務所のドアをパタン、と小さな音を立てて閉める。

「馬鹿野郎!!お前なにやってんだよっ!?」
一瞬の静寂の後、ムタの怒鳴り声が響いた。

「なんだ…彼女に怒鳴りつけたことか?…事実だろう?」

「事実だけどよ!言って良いことと悪いことがあんだろ―がっ!何が『勝手に私のものを弄るな』だよっ?!お前がハルに部屋の片付けを任せたんだろうが!!」

「は?」

「は?じゃねぇよ!最近部屋を片付ける余裕が無いってぼやいてたテメェを心配してハルが手伝うって言ったらお前は頼む、って頷いてたじゃねぇかよ!テメェのいったことも覚えてねぇのか!!」
怒気に顔を真っ赤にさせたムタが怒鳴り散らした言葉。その言葉が真意なら。

す、と脳の奥が冷えた。
足下が掬われるような感覚に陥る。

「――っ!」我に返って窓の外を見てもハルの姿はもう見えなかった。

「──探してこい!」
その声が聞こえる前に私は事務所を飛び出していた。



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