Angel Beats!-another story-【分岐END[Rパート]】

□Rebuilding the BondsA
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「くそ…弾が尽きた!!」

「こっちも!!」


気が付けば、発砲特有の乾いた破裂音は鳴り止んでいた。

見れば、残りの“影”の数は五体ほど。

二人は成す術がなくなったのか、じりじりと迫る“影”を見据えて構えているだけだった。

このままでは二人は“影”に…。

そう思うと、手が勝手に上着の内ポケットにある物を取り出していた。

それは俺にとって前世から因縁のある物だった。


「撃つしかないのか?俺が…」


たしかにこれなら残りの“影”を倒せるが…いや、今は迷っている暇はない。

俺は即座にそれを構えた。

だが、手が震えて標準が定まらない。

すると、また流歌を撃ってしまうのではないか?とトラウマが脳裏によぎる。

そして手が余計に震え、撃つのが怖くなる。

正しく悪循環だった。

この世界では撃ってしまっても流歌が死ぬことはないとわかっていても、撃てない。

トラウマの克服はそんなに簡単ではなかった。

そんなことは初めからわかっていた。

では何故、もっと早くから克服しようとしなかった?

何故トラウマから逃げ続けた?

過去の自分の体たらくを責めたところでもう遅い。

逃げ続けてきたそのツケを今、払うことになるのだから。


「撃て…ない……」


体は強張るばかりで、指は鉄のように固まって動かなかった。

俺にはできないと、心が折れてしまったのだ。

あるいはどこかで期待をしていたのかもしれない。

俺が銃を撃たなくてもこの状況を打開してくれる何かを。

ごめん。

この期に及んで指一本動かせない俺は心の中で二人に謝った。
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