捧げ物

□水城様へキリ番小説
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貴方と愛あるおままごと



「今日も貴方は美しいですねランス。」

「アポロ…」

 悪の組織R団の幹部用会議室はいつもの静かな空気と違い、ピンク色のオーラで溢れていた。
それというのもアポロが公の場であるにもかかわらず、甘い言葉を囁いているためである。

 アポロは生真面目で冷静な男なので、普段は仕事に私情を持ち込まないようにランスのストッパー役になっている。(そうでないとランスはしたっぱの前でも何でも構わずにアポロとイチャイチャしたがるからだ。)しかし今日はアテナやラムダのいる前で、しかもこれから会議だというのにランスから離れようとしないのだ。

「なぁアテナ、アポロの奴なんか様子がおかしくねぇか?」
「当たり前よ、『さいみんじゅつ』にかかっているもの。」
「あーなるほどだからか……ってはああぁ!?『さいみんじゅつ』?アポロが?一体誰に!」
「ランスよ。最近アポロが忙しくてあんまり構ってもらえてないんですって。」
「それで『さいみんじゅつ』か……。つーか、『さいみんじゅつ』って相手を眠らせるだけの技だろ。エスパータイプなら特訓させればなんとか高度に応用を利かせることも出来るんだろうが、ランスの手持ちで『さいみんじゅつ』覚えるのは…タマゴ技でズバットだよな。ズバットにそんな真似出来んのか?」
「あら、ご存知なかった?彼『さいみんじゅつ』を覚えさせたズバットをクロバットに進化させたのよ。」
「クロバットってなつき進化だろ…。ランスの奴本気か。」

 ランスが組織一冷酷と言われているのは決して伊達ではない。そんな彼がクロバットに進化させるためにどれほどの忍耐と苦痛を味わったかは火を見るよりも明らかだ。
しかしそれを乗り越えてでも手に入れたかったものが彼氏(アポロ)との甘い時間だ、というのだからいろんな意味で恐ろしい男である。

「だから今こうなっているのではなくって?」
「それもそうだな…。」

 ラムダはいまだに愛を囁き囁かれている2人の方を見る。

「僕は君の瞳に捉えられて離れることが出来ないよ…罪な人。」

「アポロ…私も貴方に…!」

 やはり技は完璧というわけではないのか、アポロのキャラが完全に変わっている。そんなアポロに少女のように頬を染めているランスは気付いていないようだ。

「なんかここまでくると逆に笑えてくるわ。」
「そうね、後でからかってやりましょ。」
「そういや、なんでランスはわざわざズバットを使ったんだ?エスパータイプ捕まえた方がまだ楽な気がするのによ…。」
「ズバットみたいなのが好きなんじゃない?」
「適当だな。」
「ランスの考えを理解したいとは思わないわ。」
「まぁな。」



ランスが満足して会議が出来るようになるまであと30分。

















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