pkmn短編小説

□次の問いに2文字以内で答えよ
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(後輩したっぱ×先輩したっぱ)


次の問いに2文字以内で答えよ




「せーんぱいっ!」


 語尾に星が付きそうなテンションで俺を呼んだのは同じ部隊の後輩だ。
 こいつが新人の頃指導していた時期があったからか、他の後輩達より可愛い存在に思えたし、こいつも他の同僚よりも比較的俺に懐いていると思う。

 …たまに行き過ぎている感じはしたが、不思議と悪い気はしなかった。

「おう、どうした?」

「実は、先輩にちょっと聞きたいことがあるんです。」

 いつもの明るい笑顔が若干緊張しているように見えた。なにか悩んでいるのかもしれない。

「別に構わないぞ。今は急ぎの用事も無いしな。」

 そう答えると後輩は安心したためか、ホッと息をついた。

「良かった…えーとですね。先輩が、俺のことどう思ってるか2文字以内で答えてください!」

「っな!」

 瞬間顔全体に熱を感じる。『どう思っているか』?『どう思っているか』だって?どういう意味だ。そういう意味だろ。2文字以内で、答えるんだよ。

2文字以内で…

2文字…



いや待て待て待て。

 なんだそれ、今何が頭に浮かんだ!?おかしいぞ!…って、いや、よく考えたらそんなにおかしくないんじゃないか?『先輩として』ってことなら普通のことだろ。よし、大丈夫だ。何でもないことだ。軽く答えてやればいい。

「す…『すき』だ…。」

そう言って俺は俯いた。

 失敗した。この答え方だと明らかにおかしいだろ。多分顔も赤いままだし。
 大体なんで2文字以内なんだ。そんな制限つけられたら返事なんて一つみたいなもんじゃねーか。

 それに、こいつがいつになく真剣な顔をしてんのも悪い!

「先輩、それ、本当ですか?」

「あ、あぁ。」

 小さく頷くと、一拍遅れて身体に衝撃が走った。原因はこいつが俺に抱き付いてきたからだ。

「え、おま、なにを。」

「嬉しいです!俺、先輩と両想いだったんですね!」

 そう言って俺の顔を覗き込んできたこいつの顔は俺も初めて見るゆるゆるにとろけた笑顔で、それが間近にあるもんだからまた体温が上昇してきてしまった。

 つーか、両想いって、あれだよな、likeじゃなくてLoveのことか…?んなわけねーだろ、俺は男でこいつも男だ。
 そう思っていても、目の前の笑顔を見ていると俺の思考が鈍くなる。

「先輩…。」

 愛しそうに呟きながら距離を縮めてくるこいつを、拒みたくないと思ってしまって、柔らかい感触を唇に感じた時にようやく悟った。









(あ、俺、こいつのこと『好き』、だ。)
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