pkmn短編小説
□次の問いに2文字以内で答えよ
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(マチキョウ(スペ))
次の問いに2文字以内で答えよ
「なぁ、キョウ。俺のことどう思ってるか2文字以内で答えてみろよ。」
突然意味のわからんことを言い出したマチスに自然と眉をひそめた。
が、少しいじめてやろうと思い付いたのですぐに引っ込める。
「そうか、しかし、オレのお前に対する思いは2文字以内には収まりきらん。そこでだ、その2文字を5文字に増やしてもいいか?」
なるべく優しい声で言えば、途端にこいつは顔を輝かせた。
「おい、それマジかキョウ!」
「あぁ、本当だ。」
「OK、じゃあ、5文字以内だ。」
ご期待に添えるため、“『愛』を囁くオレ”などという馬鹿げたものを妄想しているだろう目の前の男に答えてやった。
「『だいきらい』。」
これに懲りて二度とオレを口説くことが無くなればよいと思ったのだが。
「キョウ…お前…その年で『大嫌い』は可愛すぎるだろ…っ!」
ニヤニヤと嬉しそうに身悶えるだけで全くダメージを受けていないようだった。流石は長い間オレの嫌がらせと冷たい態度に耐えてきただけのことはある。随分とプラス思考に育っていた。これだったら、もっと厳しく言ってやればよかったな。
「マチス。」
「なんだ?キョウ。」
「『き・え・う・せ・ろ』。」
分かり易いように、右手の指を一文字につき一本ずつ折り曲げていく。ふむ、これはかなり冷たく言えたな。
すると奴は顔を青ざめて必死で謝ってきた。これだけ言われておきながらまだ解らないのかこいつは。
愚かな男だ。
(一体いつまでその愛を維持できるのか。)