HAPPY BIRTHDAY
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正直、ものすごく困っています。
アイツへの誕生日プレゼント。だってあと1日しかありません。ああ、もうどうしたら。
散々考えたけれど、アイツの欲しいものなんざさっぱりわかりません。
良さ気なものを思いついたと思えば、ああ、もう以前誕生日にあげたものじゃあありませんか。
お手上げ。もうギブアップ。ネタ切れです。
そんなこんなで、また学校が終わってしまいました。いつもは真面目に授業を聞いている俺ですが、今日はさっぱり聞いてません。はあ。(…後でウソップにノート貸してもらお。)
そんな俺の思いも露知らず。今日も今日とてゾロは部活へと急ぎます。
「あ、マリモ!今日も俺先に帰ってっから!飯は海鮮パスタな!」
そうゾロに呼びかけると、ちょっと眉間にシワを寄せて振り返りました。(つか、なんでシワ?)
「…今日もか?」
「おお」
「…分かった」
「じゃ、頑張れよ、部活!」
「……おう」
ゾロにくるりと背を向け、さあ、帰るとしましょう。出来れば今日中にプレゼントを用意しておきたいのです。マリモに構ってる時間なんて、これっぽっちもありません。
頭の中でうんうん唸りながら学校を出て足を進めますが、一向にいいプレゼントを思いつきません。
「はあ、」
いっそゾロに直接何が欲しいのか聞けばいいんでしょうけど、俺の性格がそれを許しちゃあくれません。
我ながら捻くれてるな、と思いながらのろのろ歩きます。
赤い屋根
(はあ、たまには素直になった方がいいのかもしんねえけど)
傾いた電柱
(だって、その、なんだ…なあ?)
ねこじゃらしに囲まれたボロい店
(っていうか今更素直になるって、どーすりゃいいんだ、クソ、)
(……あれ?)
はた、と立ち止まって振り返ります。
(あれ?)
(あれれ?)
ねこじゃらしに囲まれて、静かに静かに佇むボロい店。
そこは確かに昨日までは空き地だったわけで。
(あれれれ、れ?)
to be continue...