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□なんとなく、
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ふたつの青に挟まれて浮かぶメリー号は、今日も穏やか。春島のポカポカとした気候の中、クルーたちはお買い物や探検へ行ってしまった。








…おれとあいつを残して










ああ、行った方がよかったのかも。昼飯の片付けは終わってるし、ナミさん達の荷物持ちをしたほうが良かったのかもしれない。
しかも、もしかしたら、この春島では珍しい食材が売っていたかもしれないってのに。







それでも、行く気にはなれなかった。







理由はそう、『なんとなく、』だ。





『そんな理由か、くだらない、』と思うか?





くだらなくなんてない!

…と、言いたい所だが。
まったくもってその通り。なんとまあ根拠のない理由だ!


だがどうしても行く気にはならない。…『なんとなく』。









おれの気も知らずに、クソマリモはぐーすかと甲板で寝こけている。











…やっとこさ二人っきりになれたっつうのに。











知らず知らず、タバコのフィルターをギリリと噛み締める。



わざとらしくコツコツと靴音を響かせ光合成中のマリモに歩み寄る。…こんなことで起きるなんて思ってもいないけど。





「…おい」


ぐーーー。


「………おい」


ぐごーーー。


「…………起きろよクソマリモ!!」


どがっ!!!


「いっで…!!!?…何すんだエロコック!!?」



おれの華麗な踵落としをくらい、ようやく起きたクソマリモ。ああわりぃ、おれの長ーい足がぶつかっちまったみてェだ、とぼやけば、ふざけんな、とかえされる。




なにが「ふざけんな、」だ。てめェのが「フザケンナ」、だっつの。



「あ?なんか言ったかアホコック」


「なぁんも言ってませーん」


そう返すと、少し間を開けて、「なら、いいけどよ、」とマリモが言う。








…よくねェよ、ばかたれ。











「ところで、あいつらどこ行ったんだ?」



「…ナミさんとロビンちゃんはお買い物、あとの野郎は"探検"だとよ」



ぷかぷかと煙を吐きながら答えると、マリモは怪訝そうにこっちを見てきた。



「おめェは行かなくて良かったのか?」


「……あーー………………なんとなく気が乗らなくてな。」






「………なんとなく?」







「………なんとなく。」










そう返せば、「なんとなく、ねェ……」とマリモが呟く。




「…なんか文句でも?」


「いや?ただ……」








マリモの無駄に男らしい顔が近づいたかと思えば。
















ちゅう、

















「可愛いなァと思って。」




「……………!!!!!」













…ああ、おれはバカだ!きっと、世界で一番の!!こんな子供みたいなキスで、こんなに舞い上がってしまうんだから。もっとすごい事なんて、いくらでもしてるというのに。

ああだって不意打ちはダメだろう、おれはてめェに格別弱ェんだから。






「おーおー、ずいぶんとまァ赤ェこと。」



「黙れクソマリモ!!」




クソ、「ああ、これを待っていた、」「もっかいしろよマリモ!」と心の中ではしゃぐおれを蹴り殺してしまいたい。



もう一人のおれが頭ん中をぐるぐると駆け回っていると、もう一度キスをされた。今度は、さっきみたいなかあいらしいキスじゃなくて、まさに野獣!ってかんじの。











あァ、やべェ、も、すっげェきもちい、










くちびるを甘噛みされてゆっくり顔を離される。







「……今日残ったのは、本当に『なんとなく、』かよ、アホコック?」















ああもうちくしょう!








「あったりめーだクソマリモ!!!!!!!!」






















なんとなく、
「 意地っ張り 」
「うっせェうっせェうっせェ!!!」










 

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