だからどうかぼくをあいして。

▼書込み 

10/30(Sat) 22:30
SSS

「理由なんているのかよ」

彼は不機嫌にそう言った。
その言葉の意味を理解できなくて、私は彼の背中を見つめる。
いつかと同じ温度の背をさらしたままで、彼は言う。

「俺がお前を庇うのに、理由なんているのかよ」
「え…?」
「確かに理由はあるぜ。俺はお前が好きで、大切で、だから庇った。けど、だったらわざわざ理由なんていらねえだろ」

よくわからない。
彼はいつもそうだ。私には到底理解できない難解な台詞を吐いては私を困らせる。

でも、私はそんな彼が好きだった。
今はもう手に入らないあの日の感情は、あの日の私は、確かに彼が好きだったのだ。


でも、もう今更だよ、畔。
私はもう、あなたを好きになれないよ。

だって、あなたは綺麗すぎたから。



<湖畔の恋慕>
(大切にできるはずだったナニかは、あっという間に消えてしまった)

―――――――――――――――――――――――
眩しすぎるのは駄目なのよ。
自分がどれだけ擦り切れているか思い知らされるから。

2010/10/30 kyo

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