だからどうかぼくをあいして。
いきているからあたたかいのよ。
(彼女はそう言って息絶えた)
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09/11(Sat) 22:06
SSS
「ここには僕の知らないことが多すぎるんだ」
「じゃあ知ればいいじゃない」
「そんな簡単にわかったら苦労しないよ」
「苦労すれば手に入るんでしょ」
「…君はいつも綺麗だね、ユリア」
「あなたはいつも寂しそうね、レイフル」
<堂々巡りの慰め合戦>
-----------------------------------------
どうすればいいのか、なんて。
ほんとはぜんぶわかってるんでしょ?
10/09/11 kyo
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08/14(Sat) 06:08
SSS
彼の幸せを願って短冊を吊るしました。
心から彼の幸福と笑顔を望みました。
けれど、そこには私の卑しく浅ましい想いが混じっていたのも事実なのです。
だって、これならば私が想いを告げ、それを受け入れて頂けなくとも、それは私が彼の幸せに不必要だと天がお決めになったのだと諦められるではありませんか。
勿論、受け入れてもらえるなどとは微塵も思っておりませんでした。
ですから、あれは賭けですらない、ただの逃げ道だったのです。
弱く愚かな私が、傷つくなどという図々しい行為から逃げる為の手段でしかなかったのです。
ああ、どうして私はこんなにも醜いのでしょう。
せめて彼の事を祈るときくらい、純粋でありたかったのに。
なのに、こんな私にすら彼はやさしくて、後先考えない私の馬鹿げた願い事まで叶えてくださったのですから、私は幸せ者と呼ばれるべきなのです。
<私の幸福論>
(一度でいいから触れたかったの。あんまり綺麗に笑うから、遠いことを忘れていたの。ありがとうとごめんなさいを伝えられたら、さよならは言わなくてもいいと言ってくれませんか)
――――――――――――――――――――――
あんなに胸の痛い幸福を、私は知らない。
2010/08/14 kyo
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08/14(Sat) 04:10
SSS
「恋に重いも軽いもねえよ。愛に重量はあっても、惚れた腫れたにそんなもんはねえ」
「言ってくれるねぇ…どうしてそう思うのさ?」「誰かを好きになったぐれえで加害者にされてたまるかよ」
「はぐらかさないで」
「……恋ってのは状態で、愛ってのは想いだからだ」
<乙女の持論>
――――――――――――――――――――
屁理屈というには出来すぎていて、正論というには歪んでいる。
2010/08/14 kyo
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07/19(Mon) 01:15
SSS
うみのおとがきこえる。
目を開けると、朝日に照らされた青が揺れているのが見えた。
だけど起きあがることはできない。
なぜなら、ほんの数秒前に彼がまるであたりまえのようにあたしの腹部に風穴をあけたからだ。
彼はどこだろう?
視界に彼は映っていない。
と、唐突に彼のお気に入りの白いスニーカーがあたしの視界を占めた。
「…いたい?」
あたしは答えようと口を動かしたけれど、喉は全く言葉を紡ごうとしてくれない。
「………こたえられるわけない、か」
わかってるならきかないでよ。
あぁ、視界が薄れてく。
「…なぁ、俺のこと好きだった?」
勝手に過去形にしないでよ。
大好きだよ。大好きなの。大好きなのに。
「…………そんなわけないよな」
あたしの視界には相変わらず彼のお気に入りのあの白いスニーカーしか映っていなかったけれど、あたしは彼が笑ったのが見えた気がした。
「ばいばい、」
さみしそうな、こえ。
ああ、神様。お願いです。
彼にこの気持ちを伝えさせて下さい。
「…ばいばい、」
…神様は意地悪だ。
全然だめだ。
彼があんなにさみしそうに笑っているというのに、どうして、
そこであたしは途切れた。
「……俺は好きだよ」
「これまでも、これからも」
さよなら、いとしい人。
俺は君しか見ないけど、さよなら。
つめたいみずをすくって砂浜に撒いて。
最後の“好き”を、君に。
(彼女の気持ちがわからなくなった彼は、ある日真っ黒な死を彼女にプレゼントしました)
(彼女も彼を大好きでした)
(彼は勿論彼女のことが大好きです)
<ああ、それはかなしい、>
――――――――――――――――――――――
すれ違って、傷つけあって、取り返しがつかなくなって。
そうして漸く、僕らは真実に辿りつく。
2010/07/19 kyo
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07/19(Mon) 01:10
詩
たとえば、鳥のさえずりとか
放課後の、夕日で赤く染まっていく風景とか
闇の中で悲しげに光る真白の月
壊れた廃墟の虚しさ
真夏の日差しに焦げ付く地面
冬の朝 白い雪、足跡つけて
そんな、どうしようもなく些細で
かけがえのない
ゆるやかな日々は
そのぬくもりは
幸せは
ほんの少しの喪失感は
ああ、今思えば
今想えば
それらはすべて、アナタに似ていた
<すべて>
―――――――――――――――――――――
何気ないことですらすべて、あなたに繋がっている。
2010/07/19 kyo
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07/17(Sat) 00:12
SSS
たとえば、ただ単純に好きだと言ってしまうとして。
そのとき私がなにかを喪失すると言うのなら、私はその対価として喪失分のなにかを得ることが出来るのだろうか。
なれど、仮に得たとして、私が幸福になれる可能性はひとかけらもありはしないと彼女が泣いたとき、私は確かに頷いたはずなのである。
では、果たして一体、私はなにを喪失したのであろう。
<延長線上のアリア>
(わからないことは知らないことと同義だと、私は知っているはずなのに)
―――――――――――――――――――
失くしたことすら忘れてしまっても、失くしたんだと言えるのか。
2010/07/17 kyo
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07/17(Sat) 00:04
SSS
ひかりかがやくみらいなどどこにもない、とかれはわらった。
せかいはやみをあいしているの、とかのじょはないた。
真実などどこにもない。
せかいは虚偽と欺瞞で構成されている。
僕らはいったい、どこに立っているのだろうか。
「せかい?」
見慣れた後ろ姿を呼び止めると、いつもと同じように、彼女は少し戸惑ってからこちらを振り向いた。
「おはよう、夜」
僕の顔をコンマ五秒程眺めてから、せかいはそんなふうに返す。
「おはよう、せかい。こんな朝早くから起きてるなんて珍しいね」
「ああ、うん。寝てないから」
だからちょっと眠いの、右目を小さくこすりながらせかいは呟く。
「徹夜するなんて…課題でもやってたの?」
そういや、僕も科学のプリント二時近くまでやってたなぁ。
「うん。ノルマ終わんなくてね、朝までやってたの」
…ノルマ?
「そんな課題あったっけ?」
「んーん。夜は出されてないよ」
僕は出されてない?どういうことだ?
「いつもなら期日の一週間前には終わるんだけど、今回はちょっと難しくて」
期日…?
「ほら、私解剖苦手じゃない?」
かいぼう?
「ねえ、ちょっと待って?さっきからせかいは何を言ってるの?」
「?何って、」
せかいは無邪気に笑ってみせる。
「殺戮人形-オートエンド-の課題の話だよ」
凍りついた僕なんて見えてないみたいに、せかいは笑った。
<ひとちがい>
―――――――――――――――――――――
高校時代に書いていた何かの使い回し。
しかしせかいってすげぇ名前だな。
2010/07/17 kyo
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07/15(Thu) 21:10
SSS
「全部嘘なんでしょ?」
瞳を潤ませながら僕を睨む彼女に、僕は否定を示す。
「嘘じゃない。僕は君を愛してる」
「嘘よ」
「嘘じゃない」
「嘘!だったら、どうして私を殺してくれないのよ!」
「愛してるからに決まってるだろ」
「愛してるなら殺してよ!」
「どうして愛してるのに殺さなきゃいけないんだよ。そんなこと出来るワケないじゃないか」
「だって死にたいの、私もう死にたいの!」
「僕は君と生きていきたいんだ」
「私はあなたに殺してほしいの!!」
<堂々巡りの夜>
――――――――――――――――
噛み合わなくても愛しあってるのは本当なんだ。
2010/07/15 kyo
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07/15(Thu) 20:58
SSS
「役立たず」
彼女は泣きながらそう吐きすてた。
「私は、どうしてこんなに無力なのかな」
もう嫌、死にたい、何も出来なかった。
泥のような言葉を嗚咽にのせて嘆く彼女は、急に顔をあげて僕にすがるような視線を送ってくる。
「ねえ、私はどうしたらいい?」
僕は彼女のこういうところが大嫌いだ。
彼女は、何も出来なかったんじゃなくて何もやらなかったのに、悲劇のヒロインぶる。
精一杯やったけど届かなかった、そういう顔をするのだ。実際は何もしてないくせに。何もしなかったくせに。
だけど。
「大丈夫だよ。君は十分頑張ったんだ。無力なんかじゃない。君は僕の傍で笑っててくれればそれでいいんだよ」
出来る限り優しい微笑みを浮かべて、真っ赤な嘘を並べ立てて、彼女の期待通りに振る舞ってしまうくらい彼女のことを好きな自分のことが、一番嫌いだ。
<それも愛だと言ってくれ>
―――――――――――――――
嘘偽りなく真実を隠そう。
それさえも愛のカタチなのだから。
2010/07/15 kyo
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07/15(Thu) 01:17
ネタ的な何か。
「嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ!待ってくれ!行かないでくれ!お前が行っちまったら俺はどうすりゃいいんだ!バス!!」
(以上、定期の入った財布を車内に落としたらしい少年が御送りしました)
――――――――――――――――――
2010/07/15 kyo
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