にじいろ!

□03
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家の前で拾った?幸村君は美味しそうに団子を食べていた。


しかし、私の“子ども”という言葉でそれはピタリと止まった。


幸村「某は、子どもではござらん!」

『え?』

私は何かの間違いかと
聞き返した。


幸村「某はれっきとした、成人でありまするぞ!」


そう、可愛いほっぺを膨らませて言うもんだから…

笑ってしまった。


『いや…ごめんだけどね、お姉さんから見たら…完全にお子様だから』


背伸びにしては、いくら何でも説得力が無い。

私はクスクスと笑っていたのだが、当の幸村は

幸村「そ…そういえば、先程から何もかもが偉大に見えて…まさか…いや!それは無い!」


そんな事を言いながら、ぶんぶんと首を振っている。


『ちょっ…大丈夫?』

幸村「もしや…背が、縮んでしまったのか?!」


そう言って幸村は頭を抱えた。


『いや、縮んでないよ。これから伸び盛りなんだから。大丈夫、大丈夫』


幸村「大丈夫…では御座らぬ!!」

ガバッと立ち上がると、泣きそうな顔をした。

幸村「こ、これでは…お館様に合わせる顔が御座らぬぅうあぁ!」

『ちょっ、幸村君…落ち着きなさいって』

幸村「うっ…何故だ…何故…涙が…こんな軟弱な所を見られては…!」


『はいはい、大丈夫だからね。お姉さんの胸で泣けばいいから』


私はポロポロと涙を溢れさせる幸村をそっと抱き寄せた。


幸村「なっ!!は、破廉恥で御座る!」


しかし、彼は全く胸の中で大人しくならなかった。


大抵、子どもは抱き寄せてあげれば不安とか収まると思ったんだが…



彼は特殊だったようで



離した後も、固まったままだった。


かなりの純情ボーイらしい。






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