にじいろ!
□11
1ページ/2ページ
襖を開いたのは、袴に身を包んだ中年くらいの女性。
彼女は、私の姿を見るなり
安堵の表情を浮かべた。
見た所…女将さんって感じだけど、もしかしてここは料亭か何かなのかな?
「もう、身体の方は大丈夫かい?」
『え?は、はぁ…大丈夫ですけど』
突然の問いかけに驚いた。
まさか、身体の事まで一々心配するなんて…よっぽどいい料亭なんだろう。
記憶が、ないのはおかしいけど
もしかしたら今私が忘れてるだけで、旅行に来てるのかもしれない。
で、ここに泊まって居ると…
きっとお母さんが、奮発したんだ。
(お母さん、やるじゃん!)
そう、にんまりした時だった
「うおぉぉぉーッ!!!まだまだぁあーッ!」
どこからか、そんな大音量の声が聞こえた。
そして、次にはドンガラガシャーンというとんでもない音が聞こえた。
(ちょっと、料亭でなに騒いで…)
迷惑というか、馬鹿だろうと思ったら、女将さんらしき人が苦笑いを浮かべた。
「まぁた、幸村様今日も精が出てるみたいだね…」
.