愛をまもれ


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高校生活初めての夏休みで私は浮かれていた。

しかも最近始めたバイトにも慣れてきて、給料もちょっとばかし上がったのも浮かれる理由だ。


ホームルームが終わって私は一目散に教室を飛び出して、家路に向かっている。

これから1ヶ月程の休み、一体何をしようか。

(やっぱ、夏らしく……海とかいいなぁ…)

そんな幸せな妄想を繰り広げていたら、あっという間に家の玄関に着いていた。
私は直ぐに鍵を開けてドアを開いた。


『あれ……?』


ドアを開いた先は、延々と草原が広がっていた。


『ちょっと、何で家の中が草原になってんの。全然、理解できないんですが…』

夢でも見ているのか、それとも夏休みに浮かれ過ぎて頭までいかれてしまったのか……。


ただ、夢では無いらしい。
草原に足を踏み入れたらそんな感触だった。


『あはは…ますます頭おかしくなりそう。とりあえず…もう一回玄関を出て…それから……て!!!』


くるっと振り返って見れば、さっき自分が通って来た玄関が消えていて草原が広がるばかりだった。


『おいィィイ!!ちょっ、そんな笑えないジョーク要らないんですけど!!頼むから夢なら覚めてぇぇ!』

その時、足元に何かがあるのを見付けた。

『え…これって…まさかの…刀?』

私は恐る恐る、その刀を取り上げた。

現代、銃刀法違反とかやらで許可なく刀とか銃を所持していたら即、刑務所行き。

だから刀なんて持っている訳が無い。

じゃあ、これはなんだろう。ただのオモチャかなと思って鞘から抜いてみた。


キラリンと輝く刃に自分の顔が写った。

見た目だけではモノホンかわからなかったので、試しに草原でも切ってみようかと刀を振ろうとした瞬間……

『ッ……!?』

後ろから勢いよく何かが飛び掛かって来た。

だけど、私は冷静だった。
何かに動かされたように私は咄嗟に刀を振り切った。
すると、得体の知れない物体はパラパラと砕けて消えてしまった。


『ハァ…ハァ…ちょっと…本当いい加減にしてくれ。まるで…SFじゃね―か』


私は腰が抜けて草原に座り込んでしまった。

初めて刀を振ったはずなのに…何も違和感が無かった。

しかも、いきなり襲われそうになったのに、冷静だった。


もしかすると…前世が侍だったのかもしれない。

いや、でも普段より冷静だったし…まるで自分じゃないみたいだった。


『あ―もうッどうにでもなりやがれぃ!!』


ウジウジ考えているのは性に合わない。

なら、此処はどこなのか。調査してやろ―じゃないの!

といった結論に至った。


本当は不安で仕方ないだけ。
考えてたら、ますます理解できなくなるし…

だから、私は進む事を選んだ。



何が待ち受けていようとも。










(やべ、今のちょっときたわ)





....
 

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