愛をまもれ


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政宗と幸村にどんどん迫ってくる黒い球体。

私は全く空中の奴を斬る方法がわからない。

だから、必死で片倉さんに訴えたのに。

ちょっとシリアス調にしたっていうのに……。


片倉「てめぇ…今政宗様の事を呼び捨てにしたな!!今度は許さねぇ!」


(なんで、私に刀が向けられてんだよッ…!!)


『そんな細かい事気にしてる暇は無いんですって!!空中に敵が居て!政宗達を狙ってるんです!!』


(さっさとわかれよ!マジでアンタの政宗様逝っちゃうって!!)


私が必死になって空を指差したら、片倉さんはやっと目線を上に向けた。


片倉「敵だと…?何も居ねぇじゃねぇか」


『え……み、見えないんですか…?あんなに沢山居るのにッ?!』


片倉「………目がおかしくなってんじゃねぇか?」


(おいぃい!!何だその哀れみの目は!!)


『も、もういいです!!政宗がどうなっても知らないですからね!!』


そうは言ったが……
これからどうしようか。

私のジャンプ力はクソ並だし…届く訳もない。


(なんかこう…ビームみたいなので一掃できないもんかな)


《俺が…どうにかしてやろう》

不意に頭をよぎったあの囁き。

妖精さんを飼った覚えは無いが、こうなれば猫の手も借りたいくらいだ。

私は頭の中で《貸せ!とにかくビーム的なもん頼んだ》と念じてみた。


《わかった。ちょっと時間止める》


その囁きを聞いた時には…周りの景色が止まっていた。

私は不可解現象ばかりを体験しすぎて理解するのも諦めた。


ただ、目の前に居る片倉さんに口元が緩んだ。


『けっけっけ!!こうなりゃ悪戯放題だ!私を馬鹿にするとどうなるか思いしれぃ愚民共が!!』


ブレザーのポケットをまさぐってペンを取り出した。
本当はネギと刀チェンジがやりたかったけど、持ってないから諦めた。

『ふふふ…肉と書いてやろうか…?そうだ!893…』


「おい、さっきから俺の存在スルーしてくれるなよ」

くるっと振り返って見れば宇宙飛行士みたいな服装をした男が。


『ああ、アンタが妖精さんの正体か』


「ま、そんなとこだな。時間を止めたのは大事な話があるからだ」


『くだらん話ならば聞かないぞ』


「そう言うな。アンタがこの世界に来て、あの物体が見える理由の話だ」




...
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