愛をまもれ
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政宗の城、もとい青葉城に着いてお出迎えの皆さんの間をちょっとドキドキしながら通り過ぎる。
皆さんは私の格好に不思議な顔をしていた。
(ま、その反応にはもう慣れたから気にしてないけど)
前の政宗に着いて行くと、一番高い位置にある広い部屋に通された。
(なるほど、ここが政宗のお部屋か。意外に質素)
キョロキョロと見渡していたら政宗が座れと促してきた。
政宗「ところでアンタは何処の者だ?」
政宗は改まったように尋ねてきた。
(やっぱ聞いてくるよね)
『あ―何処と言われても……』
片倉「言えねぇ訳でもあるのか?」
私が言葉を濁したのに片倉さんが素早くビーム光線をお見舞いしてくる。
時代も生きる世界も違う場所から来てしまった…なんて言ったら絶対疑われる。
だからといって言わないと本当に疑いが晴れないかもしれない。
だったら…一か八か、言ってみる方に賭ける事にした。
『え―と…私の言う話、信じてくれますか?』
政宗「Ok、言ってみな」
政宗の答えを聞いて、私はここにやって来た経緯を話す事にした。
まず、自分が未来の別世界から来た事を話した。
政宗は意外に話を呑み込んでくれたらしい。
ただ…あのコワモテお兄さまは……
片倉「そんなデタラメな話を聞ける訳がねぇな」
『政宗様は理解して下さったのに?』
そう言うと、片倉さんは苦虫を噛んだ表情を見せた。
(ふふん、貴方が政宗一筋なのはわかっているのだよ)
ああ言えば、食い下がると思っていた。
片倉「やはり理解出来ねぇ。何の為に未来からわざわざ来た?」
政宗「それは俺も聞きて―な。未来人が天下を狙ってってことも有り得る話だろ?しかも刀も使えるみて―だしな」
(なに、とんでもない事をスラスラ言ってんだ政宗ぇえい!)
そして二人の鋭い目が向けられる。
私はハァとため息をついた。
『全く、ここの時代は面倒くさいね。一々人を疑ってそんなに楽しいのかな。私だって此処に来るつもりなんて無かったし、天下?なんて馬鹿げたものにも興味はない。ま、こう言ったって信じてもらえないだろうけど………』
言いながら、私はスクールバッグの中身を見た。
(…………!?)
携帯でも見せて、この分からず屋共をトリップ恒例…“何だその箱”と言わせてやろうかと思ったのに
政宗「どうした、固まったままだぜ?」
私の知っている物が入って無かった。
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