愛をまもれ
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私は今、目の前にどーんと構えているお舘様こと武田信玄に深々とお辞儀をしている。
予想以上の貫禄に喉がカラカラで、とんでもなく緊張している。
(高校の時の面接なんて、これに比べたら…)
信玄「三人共、面を上げい」
幸村「はっ!!」
佐助「はっ」
『あい!!』
瞬間、佐助からの冷たい視線が降り注がれた。
(え、今のまずかった?)
ちらっとお舘様の表情を窺ったら、少し微笑んでいた。
信玄「幸村よ、奥州では黒い霧は出ておったのか?」
幸村「は!政宗殿によれば、黒い霧による被害は受けておらぬと申されました!が、このごんべ殿がその霧を消したと」
その時、お舘様のこゆいお顔が私に向けられた。
信玄「それは真か」
『は…はい!一応…その黒い霧を倒すのが…私の役目みたいな感じです!』
信玄「ほお、お主のようなか弱き女子がのう…」
(うわ―絶対信じてもらえてないな…)
信玄「が、それも頷けよう。お主のような強い瞳をもつ者が嘘を申す事はないだろう」
そう言って、ガハハハと豪快に笑った。
それとほぼ同時に幸村がガバっとお舘様に食らいついた。
幸村「ぬおおぉ―!!流石はお舘様!!ごんべ殿の強き瞳にお気づきになられるとは!某、胸が…!」
信玄「たわけがぁあ―!!そんな事!初めから気付いておったわ!!」
そして、予想はしていたが…幸村はお舘様にもれなくぶっとばされた。
(おい!ちょっと今かすったよ!死ぬかと思ったわ!!)
ドンガラガシャーンと、とんでもない音が向こうで聞こえた。
幸村「ぐ…しかし、気付く事の出来ない人間も…居りまするッ!!」
今度は、幸村がお舘様にジャストミート。
だが、それをお舘様はしっかりキャッチした。
信玄「馬鹿者ッ!!まず、あの独眼竜と右目が認めておる時点で、わかる事であろうがッ!!」
そして、また熱い拳を幸村にお見舞いした。
(ちょっと待って、右目て片倉さん?)
私は、お舘様の言った言葉が気になってしまった。
あんなに、私を疑って…
でも…この前助けてくれた。優しい一面も見れた。
私を…認めて、くれた?
(まさか…ね)
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