愛をまもれ
□14
1ページ/3ページ
お世話になった甲斐を離れ、私は片倉さんの後ろを付いて馬を走らせている。
私の姿が遠くになっても大きく手を振っていた幸村を思い出して、つい笑みが溢れた。
(どこまでも可愛い子だったな)
でも、そんな事を考えていたら片倉さんとの距離が少し空いてしまった。
(あ…!置いていかれる!)
なんて思って馬を促して気がつく。
空いた距離より広がらない。
どうやら、片倉さんに気を使わせているらしい。
『もしかして、私に合わせてくれてるんですか?』
片倉さんに追い付いた所で尋ねれば、
片倉「ああ、お前には俺の速さに付いて来れねぇだろ」
そう、強い瞳で言われて
一瞬フリーズしかけた。
『そ、そうですか。どうも…』
片倉「ああ」
不覚にも…カッコいいと思ってしまった。
そりゃあ、元々イケメンだとは思ってたけど…
なんかこう…胸が熱く…たぎっているような…?
『ぬあぁぁあ!!もう訳がわからんッ――!!』
つい、幸村如く叫んでしまった。
片倉「ごんべ!耳元で騒ぐんじゃねぇ!そんなに力が有り余ってんなら、馬の速さ上げるぞ!」
そう、私の倍以上の音量で怒鳴られた。
(アンタのがうるせぇよ!!!)
そう言い返せたら良いのに……。
...