愛をまもれ
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夜も明けない闇の中、近づいてくる足音で俺は目を開けた。
そして、枕元に置いている刀を掴んだ。
(忍か…?それにしては、大胆な輩だな)
俺はいつでも応戦出来るように刀を構えた。
そして、襖が開いた先に居た人物に唖然としてしまった。
『頭…痛いんだけど、お母さん冷えピタ―』
片倉「お、おい!」
ごんべはそう言ってフラフラと部屋に入って来る。
どうやら、寝ぼけているらしい。
『ちょっと―本当に痛いんだからさ―頼むよ―』
片倉「何、寝ぼけてんだてめぇは…さっさと部屋に戻れ」
俺がそう言った瞬間、ごんべの身体がグラリと崩れた。
片倉「…!」
その身体を反射的に腕の中に捕らえて額に手を当てた。
(熱があるのか)
暗くて分からなかったが、顔も少し赤いように思われる。
ここ最近、忙しく動き回っていたツキが来たんだろう。
片倉「…だから無理すんじゃねぇって言ったんだ」
そう言って、ごんべの身体を布団に寝かした。
(冷やす物でも持ってくるか)
そう思って、立ち上がろうとした途端手を掴まれた。
『……行かないで』
苦しそうな顔で小さく呟いた。
俺はそんなごんべの頭を撫でてやった。
片倉「何処にも行かねぇよ。ここにいてやるから安心しな」
そう言うと、ごんべはふわっと優しい笑みを浮かべて力が抜けたようにゆっくりと寝息をたて始めた。
(馬鹿野郎…今のは反則だ)
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