愛をまもれ


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まだ夜も明けない時間、
私は何故かそんな真夜中に目を覚ましてしまった。


(ちくしょ―、身体痛いしなんか動けないし…)


え…動けない?


今気付いたのだが、何かが身体に巻き付いている。

多分、私が思うに…

ちらっと、横で寝ているであろう幸村に目を向けた。

(うわ…爆睡じゃんよ)


寝る前はあれだけ堅くなに躊躇していたのに、目の前の幸村はぐっすりと眠っている。

更に、私を抱き枕のように腕を回してきている。

それも、けっこうな力で。
美味しいシチュエーションだが、けっこう苦しい。


私がどうにか抜け出そうとモゾモゾした瞬間、幸村の腕の力が強まった。


(ひえぇ!締め殺される!)


幸村「う…お舘さ…ま…」

(ほぉ、夢までお舘さまか)


とか感心してる場合じゃない!

ともかく、このままだったら私的にはウハウハものなんだけども!


幸村が目覚めた時を想像したら、


耳元で破廉恥と叫ばれる絵が頭に浮かんだ。


(それだけは、絶対に防がなくては)


必死に幸村から抜け出そうとした時、前に黒い人影。
助けを求めようと顔を上げたら、目の前に佐助の顔があった。


『うわ…!!』


あまりにも近い距離に声を上げてしまった。


佐助「あ、ごめんごめん。びっくりした?」


全く悪びれる様子の無い笑顔を浮かべる。


『全然、悪いと思ってないでしょ』


佐助「アハー、そう睨みつけないでよ。助けて欲しいんでしょ?」


『う…た、助けなんかいらない!』


佐助「へ―なら、気をつけてね。旦那の叫びは鼓膜どころか脳まで突き破るから」


そう言ってニコリと黒い笑顔を浮かべた瞬間、その場から消えてしまった。



『あの…クソ腹黒野郎!!』


幸村「う……」


その時、小さな唸りが聞こえて私は咄嗟に幸村の方に目を向けた。


『あ………』


幸村「な………」


暫しの沈黙の後、お決まりの破廉恥という叫び声が真夜中に響き渡った。




...
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